2010年12月05日
計算通り堺ハマリ役
◆武士の家計簿(日)
私は子供の時に4年間ほどそろばんを習っていたが、この計算道具にスポットを当てた映画は記憶にない。江戸時代には庶民が寺子屋でそろばんを学ぶようになり、普及率が高まっても、時代劇の主役は真剣を操る武士であり、華麗な殺陣が定番クライマックスだ。
この映画は江戸時代終盤の下級武士を主人公にしながらも、刀を抜くシーンは1度もなく、血は飛び散らない。そろばんに秀でた御算用者(経理係)の家族物語は、新たな時代劇のスタイルを切り開いた。
配役がいい。主演の堺雅人は、早大中退。運動があまり好きでなく、将来は官僚志望だったというエピソードも、知的な雰囲気を漂わせる。劇中で家計簿をつけ、そろばんで収支を計算する姿は、堺の賢いイメージと重なり、妙にリアル感がある。最近の映画でも「クライマーズ・ハイ」の新聞記者役、「ジェネラル・ルージュの凱旋」の救命医役、「クヒオ大佐」の結婚詐欺師役など、頭が切れるキャラクターを好演。今回の“そろばん侍”も間違いなくはまり役だ。
武家の借金が膨大になったため、家財を売り払い、家族全員で質素倹約をして、家計を立て直すという物語。無駄な出費を減らす努力は、痛みを伴う。主人公の両親を演じる松坂慶子と中村雅俊が、思い出の品を名残惜しそうに手放していくシーンは、実にコミカル。ぜいたくに慣れた武家が貧乏を強いられながらも、前向きに生きようとする姿勢は、不況が続く現代でも参考になりそうだ。【柴田寛人】
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