2009年9月13日
現代にも必要なリーダー岡部又右衛門
「火天の城」(日)
安土桃山時代の1579年(天正7)に完成した、前代未聞の巨城・安土城(滋賀県)。現在の貨幣価値で換算すると、とんでもない築城工事だったことが分かる。石材とその移動、積み上げ費用が計300億円、御殿建築費が250億円、高楼(やぐら)や塀の建築費が200億円…。総工費は1000億円に届く。88年創設の東京ドームの総工費が350億円だから、ドーム3つ分の規模。石工や大工など、のべ100万人が携わったとされている。
そんな破格工事を指揮したのが、宮大工の岡部又右衛門(西田敏行)。織田信長(椎名桔平)の命を受け、大工仲間とさまざまな苦難を乗り越える。怒声を響かせて周囲を動かすようなタイプではない。職人らしく、静かに大工たちを見守る。長いキャリアを感じさせるセリフがあった。
「木組みは木の気持ちを聞いて組むもの。作事(建築)は、職人たち1人1人の心を組んでなすもの」。南の斜面で育った木は南側で使うなど、伐採した環境まで考えることで、頑丈な建築物ができるという。巨石の転落事故があり、数多くの犠牲者が出た翌日、悲しむ人々のために作事を休みにした。乱れた心を落ち着かす時間を与えた。
又右衛門のようなリーダーは、現代にこそ必要ではないだろうか。人心を把握し、的確な指示を与える。仕事に責任を持ち、コツコツと作り上げる。先月末の総選挙で民主党が圧勝。今月16日の特別国会で鳩山首相が誕生するが、安土城築城のプロセスは国づくりの参考になると思う。12日公開。4カチンコ。【柴田寛人】
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