2009年8月09日
感情移入できるか否か…ギリギリ加減がいい
「ココ・シャネル」(米、伊、仏)
15年以上前、「ホテル・リッツの男」というテレビ映画を見た。第2時大戦中、パリのホテルに住む画家がナチスから名画を守る-という内容だ。物語の中に、ココ・シャネルが登場する。若い画家の友人として、彼に女性を紹介する、という役回り。激動に巻き込まれる画家の視点から見ていると、ココは優雅で、渦中の1歩外にいる人だった。私の中では、ココ・シャネルという人は、長い間、そういうイメージだった。
今作で、これまで持っていたココのイメージが少し変わった。彼女がガブリエルと呼ばれていた幼い日から描かれている。母を亡くし、父に去られ、修道院に預けられた少女時代。「ホテル・リッツの男」で見たセレブ感いっぱいのココは、苦労を重ねた末の姿だったのか、と。
ただ、その苦労が意外とあっさり風味なのも今作。劇中、ココが「男をパトロンにして店を開いた」と言われて激高していたが、確かにそれは否めない。この、感情移入できるかできないかのギリギリな加減。だからいいのだ。ココ・シャネルだから、単なる苦労話だけじゃだめなのだ。苦労話の裏に、愛ありドロドロあり、優雅さきらびやかさがないと。
主演のシャーリー・マクレーンがかっこいい。若き日のココを演じた女優さんの方がちょっと出番が長いが、存在感は圧倒的。このすました感じ、まさにイメージしてたココ・シャネルだ!【小林千穂】
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