2009年7月26日
親の存在意義を考えさせられた
「クヌート」(独)
06年12月にドイツのベルリン動物園で、ホッキョクグマ「クヌート」が誕生。その成長を追ったドキュメンタリー映画だ。オスの成獣で体長3メートル、体重600キロに達する「地上最大の肉食獣」も、誕生時は50センチ、1キロに満たない。クヌートは体重が9キロになった生後15週で一般公開されたが、とにかくかわいい。歩き回り、寝転がる様子は、まるで縫いぐるみに命を与えたかのよう。DVDなどの関連グッズが爆発的に売れたのも納得できる。
クヌートの人気ぶりは有名だが、兄弟がいたことは知らなかった。2頭が誕生した後、母グマが育児放棄したため、1頭は生後4日後に死亡。クヌートは人工保育で生き延びた。母グマがなぜ子供を育てなかったのか、理由は分からない。同様の問題は、人間界でも発生していると思う。なぜ自らの子供を虐待し、殺してしまうのか。昨年12月に都内で当時2歳の長男をごみ箱の中で窒息死させた夫婦が、今月10日に監禁致死の疑いで逮捕された。耳を疑うようなニュースだったが、度重なる児童虐待事件の一部に過ぎない。
この作品は、北極で生きるホッキョクグマの親子と、母を人間に殺され、旧ソ連のベラルーシ共和国の森林で生活するヒグマ兄妹の生態も、織り交ぜている。子供のヒグマが本能でエサを探し、オオカミと果敢に戦うシーンを見て「親はなくとも子は育つ」を実感した。虐待する親なら、いない方がいいのでは…。それは極論だし、問題の解決にはつながらないが、親の存在意義について考えさせられた。【柴田寛人】
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