2009年7月19日
嫉妬、焦りも表現する粘土の名優
「ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢」(英)
クレイ(粘土)で作ったキャラクターを、少しずつ動かしてコマ撮りで作る、人気シリーズ最新作です。発明家ウォレスと愛犬グルミットの黄金コンビをどれだけ待ちわびたことか。
シリーズ1作目「チーズ・ホリデー」を見た時は、ちょっとした衝撃でした。キャラクターの愛らしさと、クレイの質感、30分に満たない物語の中に、笑いとほんわかさ、月に行ってしまうロマンがぎゅっと詰まっていた。5年以上かけて作ったという手間ひまにも驚いた。
2作目の「ペンギンに気をつけろ ! 」は本当に名作 ! 模型列車で繰り広げられる、グルミットと悪役ペンギンの大追跡劇は、荒野を走る機関車上での格闘に負けないくらいスリリングだった。言いすぎ? いや、ほんとに。
新作では連続殺人事件が起こります。何を思ったか宅配のパン屋を始めたコンビ(前作では窓ふき業)が、知らない間に犯人のターゲットになってしまうのだ。冒頭、パンを作る過程や配達のシーンの鮮やかさに、すでにワクワク引き込まれちゃいました。
何回見ても感心するのは、グルミットの表情の豊かさ。セリフがなく、まゆ毛がないので、目や目の周辺の動きでいろんな感情を表しますが、1秒に何回表情が変わるか、と思うくらい豊かでかわいい。喜怒哀楽だけでなく、焦り、嫉妬(しっと)という難しい感情もいける名俳優です。今回は、哀れみ、恋という新しい表情を見せて、さらなる演技派へ進化しています。【小林千穂】
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