2009年2月22日
実在するラブホまで登場するこだわり
「悲しいボーイフレンド」(日)
「シネムジカ」は「シネマ+ミュージック」の造語。エピックレコードが西川貴教やいきものがかり、大江千里らの楽曲とシンクロして年間数本の映画を製作する試みだ。アーティストのファンには興味深い企画だが、一般的にはコアなところを攻めている。外角低めのストライクからボールになるスライダーみたいな。投手にすれば空振りさせれば最高の投球なのだが、切れが悪いと見送られてボールになる。
「悲しいボーイフレンド」は85年の渡辺美里のデビューアルバム「eyes」に収録されたミドルテンポのバラードだ。デビュー曲でもシングルカットされたわけでもないのに、映画にするとはこれも通好み。彼女の登場は1歳下の私には2歳上の尾崎豊とともに朗報であり衝撃だった。サザンにユーミン、浜田省吾に佐野元春と年上のミュージシャンは多かったが、同年代の心象風景を歌うロックスターを待っていた。
映画の舞台も美里が登場した85年。「1985」という神戸に実在するラブホテルまで登場するこだわりようだ。ラブホとは無縁でも当時高校3年生だった私には感傷的にならずにいられない設定。自分でもあきれるほどいれ込んだのだが…。
映画のよしあしは別に85年秋発売のアルバム収録曲が、ラジオから流れる場面が夏だったのは残念。あの夏、「悲しいボーイフレンド」を耳にした人はいない。曲と時代にこだわった映画だけに、設定ですきをみせた分、カチンコは鳴らせない。でも、85年の日々を思い出させてくれたのには感謝。【久我悟】
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