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2009年2月15日

クドカンが演じる衝動引き出す

「少年メリケンサック」(日)

 動画サイトのパンクバンドのライブ映像が、実は25年前のものだったところから始まる物語。こんな間違い、今の時代だからこそありえるのかも。そんなことを思い、すんなりストーリーの中へ。宮藤官九郎監督の作品は、入り口をくぐったら、もう、作品のとりこです。すんなりくぐれるかどうかが、分かれるようですが。

 パンク好きのクドカン監督は、パンフレットの最後にメッセージを書いてます。「登場人物がみな、衝動を抱えて生きている」と。登場人物たちの衝動ももちろんですが、役者陣の衝動もこれでもかというくらい堪能できます。

 レコード会社の新人発掘担当を演じたのは、「篤姫」と並行して撮影したことを考えると、落差に感動してしまうくらい、ぶっ飛んだ宮崎あおい。ほかにも、これ以上ないくらい汚いおっさんで登場する佐藤浩市、いろんな意味でギリギリな田口トモロヲ、いい男でアホで憎めない勝地涼、ロボットのような田辺誠一…と、こんな人がこんなことやっちゃって! の連続です。クドカン監督が、役者たちの演じる衝動を引き出したんだろう、と想像できます。

 個人的には、酪農をしている元ギタリスト役の木村祐一にハマりました。失礼ながら決して演技がうまい人ではないのですが、そこが、シャイでぶっきらぼうで方言が残るおっさん、にぴったり。

 笑えて楽しめて、役者のお楽しみも十分な作品です。【小林千穂】

(このコラムの更新は毎週日曜日です)


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