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2009年1月11日

及川光博初主演映画『クローン故郷をめざす』

クローンは故郷をめざす(日)

 思わず2回、落ちそうになった。「及川光博初主演映画『クローンは故郷をめざす』」というキラキラとしたSF的響きと、非現実的世界を淡々と描く映画とのギャップに戸惑った体が、突如脱力した。仰々しい音楽も効果音もない無重力空間に身を委ねていると、結末で「あっ」と息をのんだ。寝なくて良かった。

 なにしろ「ミッチロリン星」の出身でハンカチ&ハニカミよりはるか前に「王子」を名乗った人である。「流れ星コーイチロー」「花椿ランマル」なる異名もあった。おそらくスポーツ紙初インタビューだった97年夏。右手を腰に「ミッチーです」とあいさつされた瞬間は、人生ベスト5にランクされる。何のだ!?

 以来、宇宙人がまとう気品は映画、ドラマで発揮され、各方面で欠かせない映像美となった。さあ、初主演。これが複雑だ。船外活動で亡くなった宇宙飛行士がクローンとしてよみがえる。しかも、双子の弟を少年時代に亡くしている。よみがえったものの記憶が少年時代で止まっている失敗作で、薬殺される。さらに生まれた2号は1号を求めて故郷の山村をめざす。

 亡くなった自分と殺された1号と生き続ける2号。これに双子の弟も絡む3・5役(勝手にそう思っている)の演じ分けの妙に感心。科学じゃコントロールできない生命の神秘や家族のきずなが描かれた。ただし、観賞後に解説文を読むと、私が息をのんだ解釈は違ったのかもしれない。それでもいい。「ミッチーとの遭遇」は忘れられそうにない。【久我悟】

(このコラムの更新は毎週日曜日です)


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