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2008年8月03日

息をのむしかない臓器売買の実態

「闇の子供たち」(日)

「闇の子供たち」(8月2日公開、ゴー・シネマ)
 阪本順治監督(50)があえて劇映画としてえぐった問題作にはすごみを感じた。原作は梁石日(ヤン・ソギル)。テーマはタイの幼児売買春、臓器売買。“加害者”は先進諸国、とりわけ多くが日本人という事実にはただあぜんと息をのむしかなかった。

 理想に燃えるNGO女性スタッフ(宮崎あおい)と新聞記者(江口洋介)が見たバンコク裏社会の実態 !  新聞や週刊誌で知ってはいても、映像で見る衝撃はフィクションとは思えない現実感をもって迫る。鉄格子の中、数人の男女幼児が座っている。エイズにかかりゴミ袋に入れられ捨てられる幼女…暗いまなざしが訴える絶望の深さ。虐待シーンは抑制されているが悲惨という言葉すら足りないほどだ。

 「(監督の)オファー受けてから原作読んだ。タイの国民を侮辱しないか、心配したが『こんな虐待をもうやめようと知らしめるためにやってほしい』と言われた。オーディションで売春婦を理解できる子供を残した」と監督。危険を冒して闇社会をロケハン、取材もして実態に迫った。

 臓器を買う日本人と売る側の描写はドキュメンタリーではできない迫力、説得力である。「自分の子供の命を救いたい」と切望する日本人両親(佐藤浩市、鈴木砂羽)。一方、何も知らず臓器提供させられる、つまり殺される現地人少女。記者の執念でカメラマン(妻夫木聡)が一瞬とらえた少女の表情は、どんなホラーよりもゾクリとするシーンだった。これが誰にでも起こり得ることだと訴える衝撃のラストまで「劇映画監督として本業に立ち返らなければ」と挑んだ監督の本気が見えた。【安永五郎】

(このコラムの行進は毎週日曜日です)


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