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2008年7月06日

今年の代表作と断言します

「クライマーズ・ハイ」(日)

 1985年8月12日。群馬・御巣鷹の尾根に日航123便が墜落、乗客・乗員524人のうち520人の命が奪われた。当時4歳だった私は何年も後になって事故を知ったが、リアルタイムで触れた世代は一生忘れないという惨事だ。それを2541カットに及ぶ撮影で料理し、上映時間2時間25分を短く感じさせるスリリングな展開にした。原作も05年のNHKドラマも秀逸だったが、設定のマイナーチェンジを加えた映画も同等に近い出来で安心した。それだけで今年を代表する作品と断言する。

 北関東新聞の遊軍記者、悠木和雅(堤真一)が事故に関する紙面作りの全権デスクを任され、旅客機の単独事故としては世界最大という壮大な「山」を登る。中間管理職の苦悩、家庭問題、事故原因特定のスクープを打つか否かの駆け引き…。公私ともに追い詰められてクライマーズ・ハイ(登山中に興奮が極限に達し恐怖心がまひする状態)に陥った悠木の疲れ切った表情と怒号はリアルだ。一匹おおかみに成り切るため極力1人で食事し、ロケ地のビルとその向かいに建つホテルの往復という仕事漬けの1カ月を送った堤も極限状態に達していた。

 繰り返すが、今年を代表する映画と確信している。一方で気になったことがある。見る人の自由を侵す気はないが、試写会で私の隣に座った女性は観賞中に何度も笑い転げていた。自分は壮絶な事故の描写と新聞社内の「戦争」にかたずをのみ続けたのに。笑った場面は1度しかない。自分は同じ職業だから共感したのだろうか? 確かに同業の前評判は高かったが…。後は皆さんの目で確かめてほしい。【木下淳】

(このコラムの更新は毎週日曜日です)


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