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2008年6月01日

20年ぶり復活の無敵男が戦争の悲劇痛感

「ランボー 最後の戦場」(米)

 人間兵器ランボーは米映画代表の強いヒーロー。だが、20年ぶりに帰ってきた彼に、アメリカが生み出した“戦争の悲劇”を実感した。今回の敵はミャンマーの軍事政権。イスラムや北朝鮮ではない。タイのジャングルに隠とんしていた彼が、医師団の依頼でキリスト教一族に医療品を届けるためミャンマーに潜入。危険地帯で海賊に襲われるや、無敵男ランボーが完全復活する。

 戦いはこれまで以上に激しく、残酷描写も凄まじい。肉体派スタローンの面目躍如。だが、最初に彼が医師団の女性に言った「何も変わらない。帰れ。自分の幸福を生きろ」というセリフが彼の立場を物語る。どんなに強くても、敵をせん滅しても平和には縁遠いまま。「何も変えられなかった」悲哀が色濃くにじむ。

 思えばランボーはベトナム戦争の“被害者”だった。第1作(82年)では特殊部隊員として帰国しながら世間の理不尽に切れ、警察相手に戦闘能力をフル回転。第2作「―怒りの脱出」(85年)では調査に出かけたベトナムで、CIA司令官の裏切りで置き去りに。無用になった戦闘マシンへの国家の仕打ち…。第3作「―怒りのアフガン」(88年)はレーガン時代、アフガニスタンに侵攻したソ連軍相手に大暴れした。この時のランボーの仲間はイスラム・ゲリラだった。最後の「すべてのアフガン戦士に捧げる」というテロップは、今見れば冗談のよう。世界情勢にほんろうされてきた彼が、静かに故郷に帰るラストシーンはスタローン(監督兼任)の願望に違いない。【安永五郎】

(このコラムの更新は毎週日曜日です)


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