2008年3月16日
コーエン兄弟のド直球作品
「ノーカントリー」(米)
コーエン兄弟といえば、悪夢と不思議世界がめまぐるしく展開する「バートン・フィンク」とか、極限状態に陥った人間の本性や欲に泣き笑いしてしまった「ファーゴ」なんかが代表作。不条理なんて言葉がよく似合う。
今作も確かに不条理という言葉が、頭に点灯した。ハビエル・バルデム演じる殺し屋シガーは、姿かたちからして不条理だ。髪形はきのこ、手には空気銃、背中には暗闇。シルエットだけで判別できる悪役キャラクターは、ダース・ベイダーとプレデターぐらい(もっといるか)。シガーは瞳も動かさないでどんどん殺していく。前をふさぐ者を殺し、手間をかけられれば殺し、コインの裏表にゆだねることも。殺される側からしたら、これ以上の不条理はない。
しかし、見終わったあとの脳みそからは、点灯していた不条理という言葉はどこかに消えていて、何だか茫々(ぼうぼう)とした不安とやりきれなさが残り、乾いた風がぴゅーっと吹いた後のようだった。
80年代のテキサスが舞台で、トミー・リー・ジョーンズ演じる保安官が、犯罪なんかについて「時代の流れは止められない」と言う。80年代にテキサスのいち保安官が感じていた不安は本当に止まらず、東京の小さな映画館にまで流れ出てているのを感じた。
場所を変え時代を移しながら起きる理解しがたい事件を見聞きし、それに慣れている自分を振り返ってみた。これって、ひとくせもふたくせもある作品をたくさん作ってきたコーエン兄弟のド直球作品だったんだ。【小林千穂】
(このコラムの更新は毎週日曜日です)
最近のエントリー
- 怪物より怖い人間の行動
- 単純に「楽しかった」と言わせぬ構成の妙
- 父に思いをぶつけたシーンにやられた
- M・ケイン36年後は老作家役に“昇格”
- 武勇伝排除、英雄の苦悩描く
- 大パニックの最後に残る消化不良感
- 旅と恋つなぐ手紙の妙
- 不思議な存在感、金城だから出せた説得力
- コーエン兄弟のド直球作品
- そうだ、インド行こう
- 少女の“ダークサイド”も描写
- 上野樹里の表情にきゅいーん
- 走るL自転車のL、ウ~ン…
- 小説とは違い味付けあっさり
- 全世代に響く拓郎ソング
- 強烈キャラさらり演じる荒川
- ダメ人間の見本市…でも温かい
- 恋はおまけ?雪山シーンにくぎ付け
- ばかばかしさ超A級のコメディー
- 阿部、堤、椎名の43歳トリオ、絶妙の「間」
※ニュースの日記を書く方法はこちらで紹介しています。
このニュースには全0件の日記があります。
- 美川が杉田かおるに「やせた方がいい」 [13日22:55]
- 五輪公式応援ソング、小田和正ら共同制作 [13日20:29]
- 夏目雅子さん母通夜で田中好子が涙 [13日20:14]
- アッキーナがゲームソフトに登場
[13日18:43] - 吹石一恵ノーブラCM撮影に「ブラボー」
[13日18:25]
- 杉本彩の「爽快」はレベルが違う
[13日19:42] - 小栗旬主演「クローズZERO」続編製作 [13日07:37]
- 赤西がハリウッド大作で声優に初挑戦 [13日06:46]
- 唐沢&香川、「20世紀少年」で引退?
[12日10:28] - 玉山鉄二ラブストーリー映画初主演 [12日06:36]
- ブッシュ映画「W」ストーン監督で今秋公開 (ハリウッド直送便) [5月13日]
- 究極格好良く、究極おもしろく/真飛聖 (GO!GO!宝塚) [5月12日]
- 怪物より怖い人間の行動 (この一本) [5月11日]
- 待ち遠しい!今夏は大作やヒット作続編が続々 (ハリウッド直送便) [5月06日]
- 黒塗りで気合スイッチON/真野すがた (GO!GO!宝塚) [5月05日]

ソーシャルブックマークへ投稿
ソーシャルブックマークとは