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2008年2月10日

小説とは違い味付けあっさり

「チーム・バチスタの栄光」(日)

 “手術”の成果に注目して見ました。原作はとにかくキャラクターが立ち、味付けは濃く徹底していました。主人公は、難易度の高い心臓手術の専門集団「チーム・バチスタ」を襲う、不可解な術中死の解明を命じられる医師。出世欲もなく病院内の人間模様をシニカルに見つめています。そして真相究明のため厚生労働省から派遣された役人に対する目線は、原作の大きな魅力でした。

 この役人はKY(空気を読めない)なんて言い方はなまぬるい。目的達成のためには時に人の心を傷つけても構わないという怪物。あっけにとられ戸惑う主人公がとにかく面白い。

 映画は主人公の味付けを薄味にしました。設定を中年男から若い女性に変えました。竹内結子演じる医師は、おっとりとしたお人よし。だらしなく内またでふらふら歩き、話し口調もしまりがない。頼りない印象ですが、周囲を見つめる目線はあくまでやさしく繊細です。小説同様、阿部寛演じる破天荒な役人に振り回されます。ところがどうにもあっさりとした印象なのです。

 原作は主人公が「こいつだけは理解できない」「いいかげんにしろ」と感情的になっていきます。相手はそんな気持ちをことごとく踏みにじり、暴れ回ります。時折ユーモアも交えた葛藤(かっとう)が魅力でしたから、流されるままの印象が強かった映画に少し物足りなさを感じてしまいました。

 のめり込んで読んだ小説だけに、比べても仕方ないという意見もあるでしょうが、厳しい目で見てしまいました。【松田秀彦】

(このコラムの更新は毎週日曜日です)

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