2008年1月20日
ダメ人間の見本市…でも温かい
「陰日向に咲く」(日)
「成功するための…」「必ずうまくいく…」。書店に行くと、上昇志向の強い人や現状打破を目指す人向けの、いわゆる成功ノウハウ本のあまりの多さに驚きます。売れ筋コーナーに平積みされていることも。格差社会、負け組、ワーキングプア…。後ろ向きな言葉を毎日浴び続ければ、読めば何かが変わるかもと“魔法”にでも頼りたくなるのかもしれません。
この映画に出てくる人たちも現状を変えようと、もがきます。ギャンブルに熱中して借金まみれ。家庭崩壊でホームレスにあこがれるエリート会社員。才能がないのに芸人を目指す若者。売れないがけっぷちアイドル。みんな不器用でさえない。方法が間違っているのか、ずれているのか。状況は悪化するばかり。トホホな日陰ぶりは、まるでダメダメ人間の見本市。主演の岡田准一も泣いてばかり。
でも、突き放せないんです。強調されたダメっぷりも、少し緩やかに考えてみれば、ひたひたと忍び寄る共感。あきらめちゃう、苦しまぎれが裏目に出る、逃避したくなる、見切りがつけられない…。おいおい、これってオレのことじゃん! 日陰度数に多少の差はあっても、もしかしたら、どんな人にも当てはまってしまう話なのかも。
後半、日陰にわずかな光が射し始めます。すべてを解決してしまうほどの光量ではありませんが、少しだけ前に進む勇気をダメ人間たちに届けます。明けない夜はない。やまない雨はない。人生捨てたもんじゃない。使い古された言葉が浮かびます。明日からもう少し頑張ってみようかな。温かい映画です。【松田秀彦】
(このコラムの更新は毎週日曜日です)
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