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2007年12月16日

阿部、堤、椎名の43歳トリオ、絶妙の「間」

「魍魎(もうりょう)の匣(はこ)」(日)

 よくできている。京極夏彦氏の原作は広辞苑のように分厚い。2時間あまりの映画にすること自体が困難な作業に思える。ところが原作に引きずられることもなく、あれもこれもと欲張らなかった脚色が映画を成功に導いている。

 こだわっているのは、メーンとなる登場人物4人のキャラクター像の色分けと関係性。どんな男なのか。どんな関係なのか。前半は寄り道せず、じっくりと人物像を浮かび上がらせる。キャラクターがしっかり見えたところで、後半は怒濤(どとう)の展開。ぐいぐい引き込まれる。見ながらよく練られたシナリオだと感心した。

 俳優たちものっている。

 立ち上がりから重厚感、存在感ある空気を醸し出し、剛速球を投げる阿部寛は先発エース投手の貫録。低音ボイスも味わい深い。

 サスペンスの勝負どころに登場する堤真一は抑えの切り札のよう。キレのいい演技をポンポン投げてくる。見ているだけで楽しくさせる技術の高さを感じた。

 2人を結ぶ立ち位置でクセのあるキャラクターを巧妙に操る椎名桔平は安定感抜群のセットアッパーといったところか。

 いずれも43歳同い年。アドリブを要求されたという会話場面も絶妙な間と掛け合いが楽しい。脂が乗りきった3人が最後まで危なげない投手リレーを見せてくれる。

 原作はシリーズで発表されている。同じ顔合わせですぐに次回作を見てみたい。【松田秀彦】

(このコラムの更新は毎週日曜日です)

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