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夢の舞台を創り続けて90年あまり。時代とともにスターを生み、話題作を手掛けてきた宝塚歌劇団。華やかなステージを作り続ける裏側で夕カラジェンヌは日々、厳しいけいこと競争の中で切磋琢磨を続けている。連載「プレシャス! 宝塚」では、そんな夕カラジェンヌの横顔を伝えます。

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8年目の転機「春雷」初主演/彩凪翔

13年8月29日 [11:22]

 今年、新人公演を卒業した雪組男役スター彩凪翔が、兵庫・宝塚バウホール公演「春雷」(今日29日~9月8日)に主演する。ゲーテの「若きウェルテルの悩み」をモチーフにしたミュージカルで、恋に悩む青年を演じる。来年100周年を迎える劇団で、次世代へ向かう"ポスト100周年スター"の1人。「新たな翔を見つけたいし、見つけてほしい」と話している。

「春雷」に主演する雪組の男役スター彩凪翔(撮影・上田博志)
「春雷」に主演する雪組の男役スター彩凪翔(撮影・上田博志)

 入団8年目。新人公演を卒業し「男役10年」へカウントダウンに入った。

 「(新公卒業は)すごい節目でした。自覚を持たねば。『彩凪翔はこれ!』っていうこだわり、作っていなかきゃ、と最近すごく考えるようになりました」

 雪組には、学生時代の剣道経験を生かし伝統の和物を得意とするトップ壮一帆を筆頭に、美形の演技派スター早霧せいな、圧倒的な歌唱力と芝居巧者の未涼亜希ら、実力者がそろう。

 「上級生の男役さんは皆さん、これ! というものがある。まずは、髪形とか基本から。上級生の皆さんのナンバーに入れてもらったとき、髪形がすごくきれい。『これじゃダメだ』と今まで以上に思うように」

 良い意味で欲が出てきた。そこへ、バウ主演がめぐってきた。これまで新人公演、若手中心のバウ・ワークショップで主演経験はあるものの、本格的な芝居でセンターに立つのは初めて。一昨年夏のバウ「灼熱の彼方」では、軍服を着こなし、スタイリッシュなスター候補として期待される。

 「バウは、宝塚音楽学校の文化祭で、初めて舞台に立った場所。『灼熱』も、今回の主演もあって、落ち着く環境でもあります」

 ホームのようにも感じるバウホール。今作はドイツの文豪ゲーテが、実体験を基にしたためた代表作「若きウェルテルの悩み」をベースにした恋愛劇。婚約者のいる女性(大湖せしる)を愛する青年貴族と筆者ゲーテの2役を演じる。

 「先生(演出の原田諒氏)も、私にリンクさせてくださっていて、今の自分とかけ離れている感じはないです。年齢も近い。ウェルテルの純粋でまっすぐ過ぎる恋と、大失恋をしたゲーテが生きる道標を見つけるまでを大切に演じたい」

 方向性は異なれど、一途ゆえ起こる若き日の悩みは近いものがある。軍服の似合う立ち姿、整ったルックスに定評があり、4月には「ベルサイユのばら」でベルナールを好演するなど、演技力にも幅が出てきた。課題は歌と考えていた。

 「今回、歌う曲が多いんです。(ベルばらの)大劇場公演中から、ボイストレーニングをしてきました。歌は好きなので、前半の恋をして楽しんでいるあたりは、私も楽しんで気持ちよく歌えたら」

 役を通して学ぶことも。ウェルテルが諦めずに向かっていく姿にも共感した。

 「私の場合、ナウ! 今です。この8年、挫折や悩みもあったし、うまくいかなかったこともたくさんあった。でも、諦めずに続けてきたから、今がある」

 転機の舞台は10年「オネーギン」。主演は、専科スターの轟悠だった。

 「轟さんのお芝居を見て、感情を殺さずに、その役で生きる役の作り方を学びました。自分はまだ下級生で少ないセリフに命を懸けていた時代で、年を重ねるごとにより深く分かってきた気がします」

 今作は「オネーギン」と少し雰囲気が似ていると感じた。「何年か先には、この作品が転機になっているといいですね。『新たな翔』を見つけたい。絶対、自分も変わっていると思う」。今回、ヒロインは男役から転向した先輩の大湖せしる。男役と娘役、両方の気持ちが分かる先輩に相談しながら、けいこを重ねた。仲間にも恵まれている。

 「同期は、仲いいです。この前の休み、香川県へうどんツアーに。金比羅さんへ、歩いて登って、しんどかった! バウ成功を祈願してきましたから」

 弾ける笑顔が、充実感を物語る。「夏バテしやすい体質」で、夏は苦手というが解消法も学習した。

 「肉です。バテたと思ったら、朝からステーキを食べます。本当は、生肉が一番好きですが、最近はちょっと...。時間があるときは料理をするように。豆乳でシチューを作るなど、体にいいものを採ろうと」

 舞台人としての自覚も増した。100周年へ向け、来年の公演ラインアップも続々と発表されている。ポスト100周年スター候補でもある。「今、この立場にいるめぐりあわせ。幸せなこと」。自覚を問うと「えー...」と照れて笑った。だがその瞳には、名前通りに「飛翔」への決意が宿っている。【村上久美子】

 ◆バウ・ミュージカル「春雷」~ゲーテ作「若きウェルテルの悩み」より~(脚本、演出=原田諒氏)ドイツの文豪ゲーテの半自伝的小説である代表作をもとにしたミュージカル。法律を学んだウェルテル(彩凪)は、親族の遺産処理のためワールハイムへ来て、ロッテ(大湖せしる)という女性と知り合う。美しさに心を奪われるが、彼女には婚約者アルベルト(鳳翔大)がいた。ウェルテルはロッテへの募る想いを断ち切ろうとするが...。青春の揺れる心を描く。

 ☆彩凪翔(あやなぎ・しょう)6月2日、大阪市生まれ。06年入団の92期生。同年、宙組「NEVER SAY GOODBYE」で初舞台。雪組に配属。10年「オネーギン」で専科スター轟悠と共演。11年のバウ公演「ニジンスキー」で初の女役、同年バウワークショップ「灼熱の彼方-コモドゥス編-」に主演。同年は「仮面の男」新人公演でも初主演。同期に花組娘役トップ蘭乃はな、星組男役スター真風涼帆ら。身長170センチ、愛称「しょう」。

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