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夢の舞台を創り続けて90年あまり。時代とともにスターを生み、話題作を手掛けてきた宝塚歌劇団。華やかなステージを作り続ける裏側で夕カラジェンヌは日々、厳しいけいこと競争の中で切磋琢磨を続けている。連載「プレシャス! 宝塚」では、そんな夕カラジェンヌの横顔を伝えます。

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「ベルばら」アンドレに大躍進誓う/鳳月杏

13年1月10日 [11:14]

 劇団が誇る名作「ベルサイユのばら-オスカルとアンドレ編」の月組新人公演が今月22日、兵庫・宝塚大劇場で上演され、幼い頃からオスカルに仕えるアンドレ役に、鳳月杏が抜てきされた。鳳月は新人公演最終年の7年目。最後につかんだ大役に「素直にうれしい」と笑みをこぼす。オスカルを演じるのは、同期入団の煌月爽矢(あきづき・さや)。92期コンビで劇団の看板作品に臨む。東京宝塚劇場は2月28日。

新人公演でアンドレ役に抜てきされた鳳月杏は笑顔でポーズをとる(撮影・加藤哉)
新人公演でアンドレ役に抜てきされた鳳月杏は笑顔でポーズをとる(撮影・加藤哉)

 劇団代表作のひとつが、ベルサイユのばら。中でも、貴族の家に生まれた女性ながら軍人として育てられたオスカルと、子どもの頃から彼女の遊び相手であり、護衛として仕えてきたアンドレの恋物語は、宝塚でも演じ継がれている。

 鳳月自身、宝塚ファンの母の影響で劇団は身近な存在だった。自宅でよく劇団のビデオやテレビを見ており、中でも「ベルサイユのばら、とりわけ、アンドレが好きだった」。そのアンドレ役に、新人ラストチャンスで抜てきされた。

 「ベルばらは(91年月組のオスカル編で)涼風真世さんがオスカル、天海祐希さんがアンドレを演じられたビデオを持っていて、本当によく見ていました。自分が昔、男役さんの『ここがステキだな』と感じた所や、純粋にステキだと思った気持ちを、みなさまにも持っていただけるような舞台にしたいです」

 3歳からクラシックバレエを習っており、小学校のころは授業が終わると、バレエのレッスンへ。自宅に戻ると、映像で宝塚の舞台を見ていたものの「まさか、自分が(劇団に)入るとは思っていなかった」。転機は中学2年のときだった。身長が伸び始め、将来を考えたとき、漠然と「宝塚」が脳裏に浮かんだ。ふと、宝塚の劇場公演を見てみようと思い立った。

 「チケットを買って、1人で花組の東京公演にいきました。私、1人っ子なので、思い立つとすぐ、1人で行動するタイプでした。その行動力が、良くも悪くもマイペースにもつながるんですが(笑い)」

 夢舞台の観劇は初体験。だが、なぜか初めて見た気がしなかったという。

 「もちろん、映像とは感じるものが違いました。でも、すごく親しみを感じたんですよ。で、ここに入りたい、と。母は(劇団に)すごく入ってほしかったみたいなので、親孝行しちゃいましたね(笑い)」

 入団時(月組)のトップは瀬奈じゅん。もともと、その瀬奈のファンだった。

 「コンサートなどで御一緒する機会もあったのですが、ただ『格好いい、ステキ』って思うだけでした。でも(瀬奈が)卒業されてから映像を見直し、芝居の仕方、男役としての見せ方など、勉強し直しました」

 あこがれの大先輩が、心の中で「目標」へと変わった。多様な角度からヒントを得ようと試みるようにもなった。前作は、明日海りお主演「春の雪」に出演。明治から大正への時代背景から、同時代の「坂の上の雲」をDVDで見て勉強。「阿部寛さんら軍人の男らしさ、男の人の考え方を想像して役作りをしました」。くしくも今作、アンドレは、軍人となったオスカルを守るべく、自らも軍服に身を包み、寄り添う。

 「軍人ですから、男らしさを課題にして頑張りたい。何回か軍服を着させていただきましたが、私自身は好き。似合っているかどうか、分からないですけど」

 笑顔で謙遜するものの、長身ゆえ軍服姿は舞台に映える。ただ、自らを「不器用」と言い、軍服の着こなし、しぐさも、得心するまで時間が必要なタイプだ。

 「何回もやって自分が納得しないと、自信を持てないといいますか、時間がかかりますね。もちろん、舞台に立つまでには自分の中に入れますが、もっと早く、自信を持ってやっていきたい。そこは課題ですね」

 子どもの頃は、負けず嫌いで活発だったが、性格は慎重派に変わった。大好きな宝塚の世界に入り、第三者からの視線を考えるようになったからだ。「皆さんに、ステキに見てもらおうって、考えすぎてしまうのかも...」。もっともそれは、プロ意識の高さでもある。4月からは8年目。新人公演は今回が最後となる。

 「去年は、自分でも(演技に)いろんな発見がありました。新人公演がなくなったら寂しいという気持ちもありますけど、(新公を)卒業して、いろんなことに挑戦したいと思うので、毎役ごとに課題を見つけ、すてきな男役になりたい」

 若手から中堅へ。今年は男役としての飛躍へ、過渡期となる。【村上久美子】

 ◆ベルサイユのばら-オスカルとアンドレ編- 池田理代子氏の漫画が原作。宝塚では74年に初演。革命に揺れる18世紀のフランスを描き、再演が繰り返される劇団の代表作のひとつ。兵庫・宝塚大劇場で上演中の本公演(2月4日まで)では、月組トップ龍真咲と同準トップ明日海りおが、オスカルとアンドレを役がわりで演じている。新人公演のオスカルは煌月爽矢が演じる。

 ☆鳳月杏(ほうづき・あん)6月20日、千葉県船橋市生まれ。06年「NEVER SAY GOODBYE」で初舞台。09年「ラスト・プレイ」新人公演でローレンス役、昨年「ロミオとジュリエット」新人公演では、死の役を演じた。同期には花組トップ娘役蘭乃はな、真風涼帆、彩凪翔らがいる。愛称「ちなつ」。

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