
夢の舞台を創り続けて90年あまり。時代とともにスターを生み、話題作を手掛けてきた宝塚歌劇団。華やかなステージを作り続ける裏側で夕カラジェンヌは日々、厳しいけいこと競争の中で切磋琢磨を続けている。連載「プレシャス! 宝塚」では、そんな夕カラジェンヌの横顔を伝えます。
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日替わり2役で魅せます/龍真咲
13年1月03日 [11:10]
100周年へプレ・イヤーとなる2013年は、名作「ベルサイユのばら-オスカルとアンドレ編-」の月組公演で幕が開いて(2月4日まで=兵庫・宝塚大劇場)いる。トップ龍真咲はオスカルとアンドレを、今作後に花組異動が決まった準トップ明日海りおと、役代わりで演じる。アンドレ役には日替わりで、花組トップ蘭寿とむ、雪組新トップ壮一帆も入る。21世紀入団の若きトップは「99周年の幕開けを月組でというのはうれしい」と言い、熱演を続ける。東京宝塚劇場は同2月15日~3月24日。
- オスカルを思わせるフリルのついたブラウスで「ベルばら」への思いを語る龍(撮影・加藤哉)
中世貴族のようであり、女性のような柔らかさもある、フリルつきのシャツを着た龍には、普段の美少年キャラクターに、中性的なイメージが加わっていた。
「けいこ着から、フリルやレースのついた服を着ていました。普段はあんまり着ないので、買いました」
運命に導かれているようだ。宙組公演「ベルサイユのばら2001 フェルゼン編」で初舞台を踏み、トップ初の正月公演でベルばらに臨む。
「強いご縁を感じます」
漫画家池田理代子氏の同名コミックを舞台化した「ベルサイユのばら」は、再演が繰り返される劇団の代表作。今回、準トップ明日海りおとの役代わりで、貴族の娘ながら男性として育てられた軍人オスカルと、彼女に仕える幼なじみのアンドレを演じる。アンドレ役は明日海以外に蘭寿、壮の他組トップも参加する。
「今回は、2役ともが出番やセリフ、役の位置づけの比重は同じ。本公演が2種類あるような感覚」
脚本、演出の植田紳爾氏は「再演を重ね、手垢がついているので、クリーンアップして新しいベルばらに」とし、時代を説明するセリフを省くなどし、重要な要素をより際立たせた。「新鮮な感じです」。オスカルは、個人的に最も好きなキャラクターだった。
「今思うと自分にリンクする。演じるほどに深みが増す。こんなにガッツリ軍服を着られるのも魅力」
オスカルには強さとはかなさが同居する。男役としての自身と重なる部分も多い。だが、それは壁にもなった。「男役のキャリアを積んだ私にとって、男装の麗人を演じるのは、やりがいと、難しくもあった」。
手応えは蘭寿、壮ら先輩と組んだけいこで得た。
「私はずっと月組で育てていただき、他組の、しかも上級生の方としっかり組ませていただくことってなかったんですよ。それにこの立場(トップ)に立たせていただいてからは、下級生と組むことも多くて、自分がリードしていかなくちゃと思っていて...」
今回も、龍がオスカルを演じるときはほとんど、相手のアンドレは後輩の明日海だ。ただ、日替わりで数日間入ってくる先輩とのタッグで、新たな経験をし、龍にある変化が生まれた。
「女性であるオスカルには繊細さ、不安な心もある。それが(難役に挑む)私の気持ちとリンクして。そんな私を、おふた方とも力強く受け止めてくださった。目を見てお芝居をし、思いを言わずとも心通わせられる。頼れる方々です」
どちらかというと、人に頼るタイプではない。だが、誰かに支えられ、引っ張ってもらうことで生まれる感情が、芝居を豊かにすることもあると知った。
今回、初代オスカルを演じた榛名由梨が指導に参加した。榛名はアンドレ役も経験。初演時、植田氏とともに演出を担当した俳優の故長谷川一夫さんから、演技指導を受けている。
「榛名先生が長谷川一夫先生から受けた言葉を今、私たちに伝えて下さっている。時代を超えた言葉を受け取ることで、節目の年に偉大な作品に携わっていることを実感しています」
榛名を通して伝わる「言葉」は心に染み渡った。
「名場面を美しく見せるためには、どれほど役者は苦しまねばならないか、とおっしゃっていました。あらためて実感しました」
植田氏からも「せりふは歌うように、歌はしゃべるように」と学んだことがあり、今、そんな心の財産を再び取り出す日々だ。ビジュアル面では、オスカルのメークで新発見があった。
「女の子メークなので、榛名先生から『りりしすぎず、どこかはかなげ。繊細さを表現するように』と」。龍は「化粧は下地が命」と考え、納得がいくまで下地を作り直したという。
もう1人のアンドレ役は「オスカルの盾となる」イメージで臨む。オスカルを演じ、アンドレに覚えた感覚からの考えだ。オスカルという"光"を見守る"影"の役柄ととらえる。笑うと「キラキラ」といった表現がぴったりの「月の王子様」は、今年も輝いている。【村上久美子】
◆ベルサイユのばら-オスカルとアンドレ編-(脚本・演出=植田紳爾氏、演出=鈴木圭氏) 池田理代子氏の漫画を原作に、74年に初演。革命に揺れる18世紀のフランスを舞台に、生きた人々を描いた。オスカルとアンドレ、フェルゼンとマリー・アントワネット-2組のカップルが繰り広げる恋愛劇は、劇団の代表作。来年の100周年へ向け、今回は月組がオスカルとアンドレ編、4月には新生雪組でフェルゼン編が上演される。
☆龍真咲(りゅう・まさき)12月18日、大阪府生まれ。城星学園を経て、01年「ベルサイユのばら2001」で初舞台。07年1月「パリの空よりも高く」で新人公演初主演。09年5月「エリザベート」でルキーニを好演。10年「ザ・スカーレット・ピンパーネル」でショーヴラン、アルマンを役がわり。昨年6月、月組トップ就任のお披露目公演「ロミオとジュリエット」で、準トップの明日海りおとロミオ、ティボルトを役がわり。同10~11月には、全国ツアー「愛するには短すぎる」主演。身長171センチ。愛称「まさお」。
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