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夢の舞台を創り続けて90年あまり。時代とともにスターを生み、話題作を手掛けてきた宝塚歌劇団。華やかなステージを作り続ける裏側で夕カラジェンヌは日々、厳しいけいこと競争の中で切磋琢磨を続けている。連載「プレシャス! 宝塚」では、そんな夕カラジェンヌの横顔を伝えます。

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度胸満点!!飛躍します!!/芹香斗亜

12年8月09日 [11:15]

 173センチの長身を生かした立ち姿に天賦の才がある。元阪急の長身投手、山沖之彦氏を父に持つ花組6年目の芹香斗亜は今月14日、新人公演「サン=テグジュペリ-『星の王子さま』になった操縦士-」(兵庫・宝塚大劇場)に主演する。センターは約2年ぶり2回目。今年4月に星組から異動し、花組トップ蘭寿とむからは「しっかり鍛える」と言われたという。期待のスター候補生は、新天地で輝きを増す。東京宝塚劇場は9月27日。

敬礼ポーズも凛々しい芹香斗亜(撮影・渦原淳)
敬礼ポーズも凛々しい芹香斗亜(撮影・渦原淳)

 男役として恵まれた体格ながら、大人になりかけた少年のようなたたずまい。芹香にとって今回、10年「愛と青春の旅立ち」以来の新人公演主演。前回は、本公演で歌も、セリフを言ったこともない状態からの抜てきだった。

 「あのときは、周りの方に甘えさせていただきました。おけいこ中も、もうどうしたらいいか分からなくて。ワーッとなっていました。でも演出の先生から『真ん中に立つ以上は、やり遂げる責任がある』と言われて、ハッとしました」

 意識が変わった。主役が立ち止まれば、芝居そのものが壊れてしまう。

 「できなくても、前に進まなきゃ。本公演でも、責任を持って役柄を演じようと思うようになりました」

 芹香の心に余裕と、そして欲も出てきた。

 「課題もたくさん見えてきて。歌やダンスはずっとやっていますけど、お芝居って、実践でないと分からないこともある。公演ごとに(からむ)上級生から盗もうって!」

 台本を読み、自分から積極的に意見を伝えるようにもなった。以前は、できなかったことだ。

 「昔は、自分がどうしたいのか分からなかった。ハチャメチャになったら怖いというのが先にあり...。でも今は、とにかくやってみないとって。舞台度胸とは違う度胸がつきました」

 経験を積んで立つ2回目のセンター。世界的ベストセラー小説「星の王子さま」の作者、サンテグジュペリ役だ。作家で、操縦士だった主人公の半生を、小説の世界観をまじえて描く。

 「ロマンチストな人ですよね。戦争中に(1930年代)に、あんなすてきな本を書いて。(演出家の)先生も最初に『子供の心を忘れない人』とおっしゃっていて。演じる上でそれが大事だと思いました」

 今年4月、星組から花組へ異動。移籍後、本拠地初公演となった今回、新人公演の主役をつかんだ。

 「異動してすぐの主演で、不安はありますけど。(他組を経験した)自分がスパイスになるんじゃないかなとも。下級生も増えてきましたし、刺激しあって頑張りたいですね」
 本公演では、蘭寿演じる主人公のパイロット仲間。冒頭で、風をおそれて飛行をためらい、蘭寿とからむ場面もある。その蘭寿は、すぐに声を掛けてくれた。

 「蘭寿さんが気にかけて下さって『これから鍛えていくからね』と。うれしかったです。しっかりついていきたい。蘭寿さんは周りのことを本当によく見ていて、夜遅くに下級生が残って練習をしていたら、自らポーズを1つずつ見せてくださる。感激しました」

 冷静な判断力、客観視できる目線を持ったキャリア豊かな大先輩から学ぶことは無数にある。新たな環境にもなじんでいるが、子供の頃は、極度の人見知りだった。野球選手だった父は、シーズン中は遠征で不在が多かった。

 「お父さんもダメで、お母さんくらいしか...。小学校から一貫(教育)だったので、転校もなかったですから。人の前に出るタイプでもない。宝塚に入ってからもそうでした...」
 だが、入団後に配属された星組で、初めて「トップスターの退団」を経験して変わった。若返り、一変した組の雰囲気。けいこでは失敗を恐れず、率先してチャレンジする若きトップ柚希礼音に刺激を受けた。

 「もっと自分を発信していかなきゃ、って。性格も変わって、はじけられるようになった。父にも『明るくなった』って言われます」

 タイプの異なるトップの下での経験は大きな財産だ。入団6年目。自分が教える立場に変わりつつある。今回の新人公演、相手役は2年目の春妃うららだ。

 「今回の相手役は若い。双方が輝いてこそ、すばらしい舞台になると思う。伝えられることは伝えたい。とはいえ、私もまだまだ男役として未完成、正直、怖さはあります。でも、未完だからこそ出せる"ピュアさ"もあるかもしれないと前向きに思っています」

 大型のスター候補生、背伸びはしない。1歩1歩、高みを目指して、成長の階段を上る。【村上久美子】

 ◆ミュージカル・ファンタジー「サン=テグジュペリ-『星の王子さま』になった操縦士(パイロット)-」 「星の王子さま」を書いたアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの半生を描く。厳格なフランス貴族の家に生まれながらも、操縦士として、空を飛び続けた男。彼と、妻コンスエロとの情熱的な愛を軸に、アントワーヌの心の世界「星の王子さま」をからめて描くミュージカル。

 ☆芹香斗亜(せりか・とあ)1月20日、兵庫・神戸生まれ。神戸海星女子学院中を経て、07年「シークレット・ハンター」で初舞台を踏み、星組に配属。10年「愛と青春の旅だち」で新人公演初主演。昨年11月「オーシャンズ11」新人公演では、本公演で涼紫央が演じたラスティ役。4月に花組へ異動し、全国ツアー「長い春の果てに」に出演。身長173センチ。愛称「キキ」。

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