日刊スポーツのニュースサイト、ニッカンスポーツ・コムです。


プレシャス!宝塚のイメージ画像

夢の舞台を創り続けて90年あまり。時代とともにスターを生み、話題作を手掛けてきた宝塚歌劇団。華やかなステージを作り続ける裏側で夕カラジェンヌは日々、厳しいけいこと競争の中で切磋琢磨を続けている。連載「プレシャス! 宝塚」では、そんな夕カラジェンヌの横顔を伝えます。

プレシャス!宝塚は以下のURLに移転しました。
(http://www.nikkansports.com/entertainment/column/takarazuka/)

最新記事はこちらから→

魅せます 思い出のヒロイン/蘭乃はな

12年4月19日 [12:56]

 花組トップスター蘭寿とむ率いる同組の全国ツアー「ミュージカル・ロマン 長い春の果てに」は、今月28日に千葉公演からスタート。5月26~27日の大阪・梅田芸術劇場が千秋楽になる。脳外科医(蘭寿)と難病に冒されたピアニスト志望の少女の恋を描いた作品。蘭寿とはコンビ4作目となる娘役トップ蘭乃はなが、役柄と同じく全幅の信頼を寄せる蘭寿に支えられ、「思春期の思い出」に臨む。

笑顔でインタビューに応じる蘭乃はな(撮影・築山幸雄)
笑顔でインタビューに応じる蘭乃はな(撮影・築山幸雄)

 今作は02年、紫吹淳と映美くららにより、月組で上演された作品の再演。蘭乃は入団前だったが、東京公演を劇場で見ていた。

 「ジャスト・ファン時代で、4回見に行きました。宝塚が好きで、週1回ぐらいのペースで、観劇に行っていましたから。まさか自分が、あの役を演じるとは思ってもいませんでした」

 蘭乃の目に焼き付いているヒロイン・エヴァ。脳に難病を抱える少女だ。手術ミスにより自暴自棄になっていた脳外科医、ステファン(蘭寿)の腕を信じ、希望をつないでいく。その外科医との恋も描かれる。

 「エヴァは、映美さんの魅力そのものでした。小柄できゃしゃ、かれんでかわいらしくて、パワーがある。そこを惜しみなく発揮されていました。私は娘役としては身長が高いですし、入団7年目。映美さんとは演じた学年も違いますし」

 エヴァは14歳の設定。初演のイメージが残るゆえ、不安はあった。だが、自分の歩んできた道程こそが武器になると、気付いた。

 「14歳って、すでに自分がたどってきた道。ちょうど、私が宝塚を見ていた時期が、10代の思春期に差し掛かる頃。舞台を見ながら自分が思っていたことを参考にして、役柄を作っていけると思いました」

 冷静に役柄と自身を比較し、分析できるのは、振り幅の広い役柄をこなしてきたキャリアがあるから。前作「復活」では、身を持ち崩すダークなヒロインに挑戦した。そして、今作は、大人になりかけた多面性を持った女の子。ステファンに感じた「恋の第六感」に進むことに迷いがない。

 「自分の気持ちをすぐ表に出す女の子。今回は、前作のような暴言はないですけど(笑い)。(前作と同じく、個性的な)石田(昌也)先生なので、型破りなところはあるかも。娘役さんに対して『おばさん』って言ったりしますし」

 彼女自身は役柄と異なり、感情や気持ちをためこむタイプ。たまに爆発し、怒って泣いてすっきりするという。もともと、自分をさらけ出すのが苦手。キャリアを重ねたことで、失敗を恐れ、自分を押さえつけるようにもなっていた。だが、今は「100%力を出し切れる」。蘭寿への信頼感が強固になったからだ。

 「コンビを組ませていただいて、まだ1年ほどですが、すごく信頼関係を感じています。感性を解き放つといった感覚を、蘭寿さんからいただいています。蘭寿さんが気さくで、思いやりがあって、気配りをされる方なので」

 悩んでいる時期に、ちょうど、蘭寿との新コンビが決まった。演出家からは「下級生のときはもっと自由奔放で、むちゃくちゃなんだけど、それが良かった。でも、今はなくなっている」と指摘されていた。

 悩みを蘭寿に相談し「いろんな経験をした今、自由奔放にやっても、めちゃくちゃにはならない。周りを、自分を信じて、思いっきりやってみたら?」という言葉をもらった。「我を忘れるぐらい全力で(役柄に)集中していきました」。

 花組のトップは蘭寿、2番手は蘭寿と同期の壮一帆。ともにキャリアも豊富で、オン・オフの切り替えをきっちりするタイプ。けいこ場でも、公演中も、楽屋は笑いが絶えないという。

 「楽しい、すごくにぎやかです。公演中、長い休憩があると、いつも余興大会があるんです。上級生の方の指名で、私の同期の子が余興をするんですけど。おもしろければなんでも許される。すごく自由な空気で。私はいつも、見ている側ですが、もうワーッと盛り上がります。はしが転げてもおかしい年ごろっていいますか(笑い)」

 後輩は、先輩の背を見て育つ。「上級生の方が、楽しむときはおもいっきり楽しんで、集中するときは真剣にと、徹底してらっしゃるので。私たちもそうありたい」。蘭寿と、そして花組全体が強固な信頼で結ばれている。【村上久美子】

 ◆ミュージカル・ロマン「長い春の果てに」(演出=石田昌也氏) 95年に仏映画の鬼才、アレクサンドル・アルカディが書いた「世界で一番好きな人」がモチーフ。宝塚では02年、紫吹淳、映美くららの月組で上演。脳外科医とピアニスト志望の少女の恋を描く。レビューは「カノン-Our Melody-」。ツアーの主な日程は、5月4~6日に福岡市民会館、同12日に広島・ALSOKホール、同24日に滋賀・ひこね市文化プラザ、同26~27日が大阪・梅田芸術劇場で千秋楽。

 ☆蘭乃(らんの)はな 5月20日、東京都生まれ。06年「NEVER SAY GOODBYE」で初舞台。その後、月組に配属。07年、阪急電鉄の初詣ポスターでモデルに抜てきされ、08年「夢の浮橋」で新人公演初ヒロインを務めた。10年2月、花組へ組替え、同5月同組トップ娘役に就任。身長163センチ。愛称「らん」。

このコラム記事には全0件の日記があります。

プレシャス!宝塚の最新記事





日刊スポーツの購読申し込みはこちら