日刊スポーツのニュースサイト、ニッカンスポーツ・コムです。


プレシャス!宝塚のイメージ画像

夢の舞台を創り続けて90年あまり。時代とともにスターを生み、話題作を手掛けてきた宝塚歌劇団。華やかなステージを作り続ける裏側で夕カラジェンヌは日々、厳しいけいこと競争の中で切磋琢磨を続けている。連載「プレシャス! 宝塚」では、そんな夕カラジェンヌの横顔を伝えます。

プレシャス!宝塚は以下のURLに移転しました。
(http://www.nikkansports.com/entertainment/column/takarazuka/)

最新記事はこちらから→

目覚めた遅咲き姫/音波みのり

12年3月08日 [10:19]

 星組男役スター涼紫央(すずみ・しお)主演「天使のはしご」は、英作家ジェーン・オースティンの「高慢と偏見」が原作。涼の相手役を務める娘役の音波みのりは、バウ公演や新人公演でのヒロインが続き、成長著しい。引っ込み思案だった性格に積極性が芽生えたことが大きい。外国の映画や雑誌、ドラマで女優のしぐさ、ドレスさばき、メーク法も盗む。欲も出てきた娘役が、舞台に鮮やかな花を咲かせる。東京公演は日本青年館大ホールで12日まで、兵庫・宝塚バウホールは19~31日。

バウ・ロマン「天使のはしご」でヒロインを演じる音波みのり(撮影・和賀正仁)
バウ・ロマン「天使のはしご」でヒロインを演じる音波みのり(撮影・和賀正仁)

 舞台は18世紀イギリスの田舎町。女性が自立できる職業は少なく、良き結婚相手を見つけることが幸せとされた時代。現代人のような積極性を持たない女性像は、かつての自分とも重なる。自信が持てなかった。もっとも今回演じる5人姉妹の次女リジーは、そんな時代に知性を武器にした鋭い観察眼を持った女性。今、目指す娘役に近い。

 「演技への取り組み方が変わってきたと思う。自信が出てきた気がします」

 理由のひとつが、ここ最近、相手役を務めている涼の存在。9学年上の男役スターから学ぶことは多い。

 「3作目です。私を引っ張ってくださる力と、宝塚愛が素晴らしい方です」

 目前に涼が存在するかのように、頭を下げた。特に印象的だった涼の言葉は、娘役としてのあり方。一般に、男役を支える娘役は「かすみ草」と言われる。

 「かすみ草がパッといっぱい花咲くからこそ、男役も輝くんだよ、と。華やかなかすみ草になりなさい。いつもキラキラしていて、内からあふれるエネルギーを普段から出せるように。稽古場ではいつもきれいにし、朝、出会ったときから笑顔でいること。そこからがスタートだよ、と」

 物語は、リジーの住む町へ、独身の資産家と、涼演じるその友人ダーシーがやってくる。リジーとダーシーは、誤解と偏見に悩み、葛藤しながらもひかれあう。95年に英放送局BBCがドラマ化、05年には、キーラ・ナイトレイ主演で、英映画が上映された。

 「以前に映画を見ていて、すごくすてきな恋愛の話だなって思っていました。宝塚でこういう作品ができたらって。まさか舞台化されて、かつヒロインとして...。ほんとに幸せ」

 宝塚は外国作品が多く、もともと普段から外国作を見るよう努めている。

 「コスチューム、ドレスさばきなどを勉強したくて。海外雑誌もたくさん見て、メークのポイント、陰影をきちんと出せるように。個人的には、ナタリー・ポートマンさんが好き。お化粧前(メーク台)に写真を置いて、どういう風にすれば、あんなキュートさを表現できるか考えています」

 映画「ブラックスワン」で、昨年のアカデミー賞・最優秀主演女優賞を獲得したナタリー。美と実力を備える女優だ。少しでも近づこうと毎日、その姿を視界に入れる。入団6年目。娘役としては若干、遅咲き。光る素材を持ちながら、輝けないでいた。

 「私が出る作品は(作品の)オーディションがあるものが多くて、いつも落ちてしまっていた。引っ込み思案というか、アピール力が足りない、自信がない部分もありました」

 上級生や、同期から心配されたこともあった。

 「先輩から、無理して笑っていて、その姿が痛々しいけど、大丈夫と言われた。言葉にしない思いを察して下さる先輩は本当にすごい。私も通った道だから、と言って心を軽くしてくださったことも」

 さらに声楽の先生の助言も大きかった。「先生に悔しい思いを伝えたんです。すると、先生が客観的に私の長所を言ってくださって、頑張ろうと思えた」。芽生えた自信が、一昨年からのバウ、新人公演のヒロインを引き寄せた。

 宝塚入りまでには挫折も経験。「子供のころからモダンバレエを習っていて、お芝居も好きだったので、いつか舞台人になりたいと思っていました。母に宝塚を教えられ、受験したんですけど、1回目は1次も通らずに落ちて」。1度はあきらめたが大学進学が内定していた高校3年の秋、未練を断ち切れなかった。試験まで4カ月。レッスン再開。2度目の挑戦で合格。「人生でラストチャンスなら、もう1度向き合ってみようと思ったんです」。ケジメ受験を合格切符につなげる強さも持っていた。

 笑顔も増えた。娘役では年長になり、1人1人に積極的に声をかける。言葉の持つ力を体感しているからだ。はかなげだったかすみ草に、強さと、華やかさが加わった。【村上久美子】

 ◆バウ・ロマン「天使のはしご」(脚本・演出=鈴木圭氏) 英女流作家ジェーン・オースティンの「高慢と偏見」が原作。17~18世紀、イギリスの片田舎を舞台に、当時の女性の結婚事情と、恋のすれ違いを描いた恋愛ドラマ。主人公ダーシーは、寛容でありながら「高慢」と誤解されがち。主演の涼紫央が、そんなニヒルで高貴な青年を演じる。音波は、ダーシーが出会うベネット家の5人姉妹の次女リジー役。

 ☆音波(おとは)みのり 11月29日、横浜市生まれ。八雲学園高を経て、05年4月「マラケシュ・紅の墓標」で初舞台。星組に配属。10年8月「摩天楼狂詩曲(ニューヨークラプソディー)」で、バウ公演初ヒロイン(役がわり)。同年10月には「愛と青春の旅だち」で、新人公演初ヒロインに抜てきされた。昨年は「メイちゃんの執事」(バウ)、「オーシャンズ11」新人公演でもヒロイン。同期には、宙組トップ娘役の野々すみ花らがいる。身長160センチ。愛称「はるこ」。

このコラム記事には全0件の日記があります。

プレシャス!宝塚の最新記事





日刊スポーツの購読申し込みはこちら