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夢の舞台を創り続けて90年あまり。時代とともにスターを生み、話題作を手掛けてきた宝塚歌劇団。華やかなステージを作り続ける裏側で夕カラジェンヌは日々、厳しいけいこと競争の中で切磋琢磨を続けている。連載「プレシャス! 宝塚」では、そんな夕カラジェンヌの横顔を伝えます。

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トップお披露目以来ずーっと王子様/音月桂

12年3月01日 [11:01]

 雪組トップスター音月桂が、兵庫・宝塚大劇場で9日開幕する「ドン・カルロス」(4月9日まで)で、無敵艦隊時代のスペイン王子を演じる。一昨年秋、トップ就任。昨年1月に「ロミオとジュリエット」で、本拠地お披露目公演に主演して以来、大劇場作品はすべて貴族か王子の高貴な役。貴公子然とした音月ならではだ。今回は情熱の国、スペイン王子の成長物語。主人公だけではなく、周囲の人々も成長を遂げる内容で、雪組自慢の団結力を見せる。東京宝塚劇場公演は4月27日~5月27日。

雪組「ドン・カルロス」公演に意欲をみせるトップスター音月桂(撮影・田崎高広)
雪組「ドン・カルロス」公演に意欲をみせるトップスター音月桂(撮影・田崎高広)

 華やかで、清涼感のあるルックス。歌、ダンスと3拍子そろったトップスターには、王子様がぴったり。王子、貴族が音月のはまり役になりつつある。

 「光栄です。立ち居振る舞いや気持ちの持ち方、出し方などが、多少(貴族らしく)変わってきているかもしれませんね」

 笑うと、あたりが明るくなる。昨年1月の本拠地お披露目はロミオ。続く本拠地公演「仮面の男」でルイ14世。全国ツアー「黒い瞳」でも青年貴族を演じた。

 「王家、貴族に共通しているのは、軽々と悩みを話せない。華やかさの裏の『孤独』。ただ、同じような王子にならないように。今回は情熱の国の王子。違う顔を出したいですね」

 今作は16世紀のスペインが舞台。オペラ「ドン・カルロ」で知られるスペイン王子が主人公だ。性格は明るく快活。父のフェリペ2世(未涼亜希)は、スペイン最盛期の国王。父から、父の妻との三角関係を疑われつつも、自らは女官レオノール(舞羽美海)との純愛を育む。悲劇のオペラとは違い「成長物語」に仕立てられている。実は、けいこに入る前、音月は、役柄に頭を抱えていた。

 「ドン・カルロスという人を調べていくと、背が低いとか、あまりいい書かれ方をしたものがなくて。なかなか(イメージが)浮かばなかったんですけど、台本を読むと、23歳の青年の生きた過程、生きざまを美しく描かれていたので」

 台本から、カルロス像が浮かんできた。親子の情愛、恋、友情と仲間との絆も作品に盛り込まれていた。ネーデルラント解放を訴えるポーザ侯爵(早霧せいな)に共鳴することで、父と対立し、確執も生まれる。

 「家族愛、友情、恋、いろいろが、からみ合っていきます。雪組大半の出演者が出て、アカペラで始まる歌があるんです。自分は出てないんですけど、見ているだけで、鳥肌が立ちます。雪組は団体戦に強い!」

 音月個人として、心に染みる楽曲もある。

 「『心から心へ』と歌うテーマ曲があり、歌詞が自分にリンクするというか...。今回はリンクすることが多いかもしれませんね」

 というのも、今作で「成長」するのは主人公だけではないからだ。彼とともに、周りにいる人々も精神的な成長を遂げていく。

 「それぞれの役柄みんなの気持ちが、満足して終われる作品ですし、私たちもいい舞台を届けるために一丸となって、個々が壁にぶつかりながらけいこをしているので、近いものがある。雪組育ちですし、組子は家族のようなもの。それぞれが壁を乗り越えると、なんだか、ウルっと来ます」

 雪組生え抜きでトップに就いて2年目。組子との関係は日々、強固に感じる。
 「下級生も私のことを知ってくれているので、私の気持ちを察して、先に動いてくれる。みんなに頼れる。そういった意味で、私は役柄のように『孤独』は感じないですね」と笑った。

 2部のショー「シャイニング・リズム!」は、光と音をテーマにしたダンシング・ショーになる。「私たち1人1人の中から発信する光と、音を楽しんでもらえれば」と話す。音月自身には、男役としての色気を出すナンバーもある。

 「セクシーで、大人っぽい場面もありますし、少し激しいラテン系から、ジャズと、楽曲は聴いているだけで血が騒ぐような」

 いろんな色に輝くショー。音月は何色の光を放つつもりなのか。

 「レインボーみたいに、いくつもの色を発せられるような光でありたい。『もう、まぶしい』ってくらいに。あ! でも、まぶしくて目を閉じたら、舞台見てもらえませんね」

 大きく体をそらして笑った。「生き生きした組のみんなの光が集結して、ハレーションを起こすようなショーもいいかも」。

 頂点に立ってもなお、仲間とともに成長し続けるトップの笑顔は輝きを増すばかりだ。【村上久美子】

 ◆グランド・ロマンス「ドン・カルロス」~シラー作「スペインの太子 ドン・カルロス」より~(脚本・演出=木村信司氏) 16世紀のスペインを舞台に、王子ドン・カルロス(音月桂)と、王子を愛する女官レオノール(舞羽美海)との恋を軸に描く。カルロスの元婚約者で、今ではカルロスの父フェリペ2世(未涼亜希)と結婚したイサベル(沙月愛奈)をめぐる心情、ネーデルラント解放を訴える友人ポーザ侯爵(早霧せいな)との駆け引きがからんでいく。

 ◆グランド・レビュー「シャイニング・リズム!」(作・演出=中村一徳氏) 光、影、ときめき、喜び、情熱、躍動をテーマにしたダンシング・ショー。

 ☆音月桂(おとづき・けい)6月19日、埼玉県生まれ。鴻巣(こうのす)中を経て、98年「シトラスの風」で初舞台。99年雪組配属。01年「猛き黄金の国」で新人公演初主演。10年秋、雪組では96年の高嶺ふぶき以来、生え抜きトップに就任。昨年は大劇場公演以外にも、7月に梅田芸術劇場(大阪市)で、96年真矢みき以来の「ハウ・トゥー・サクシード」、同12月末からシアター・ドラマシティ(大阪市)などで「Samourai」に主演。身長167センチ。愛称「キム」。 

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