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夢の舞台を創り続けて90年あまり。時代とともにスターを生み、話題作を手掛けてきた宝塚歌劇団。華やかなステージを作り続ける裏側で夕カラジェンヌは日々、厳しいけいこと競争の中で切磋琢磨を続けている。連載「プレシャス! 宝塚」では、そんな夕カラジェンヌの横顔を伝えます。

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茶々の心/野々すみ花

11年5月12日 [11:52]

 宙組公演「美しき生涯-石田三成永遠の愛と義」(20日~6月20日、兵庫・宝塚大劇場)は、NHK連続テレビ小説「ふたりっ子」などで知られる脚本家大石静氏が書き下ろした。トップスター大空祐飛ふんする三成が、主君・秀吉の側室となる茶々との許されぬ恋に悩む姿を描く。茶々を演じる娘役トップ野々すみ花は、大石氏が描く清廉潔白な三成像に大空を重ねてけいこに励んでいる。東京公演は、東京宝塚劇場で、7月8日~8月7日まで。

トップ大空祐飛を三成像に重ね、茶々を演じる野々すみ花(撮影・清水貴仁)
トップ大空祐飛を三成像に重ね、茶々を演じる野々すみ花(撮影・清水貴仁)

 トップの大空とともに、宙組へ異動して3年目。以来、コンビを組んできた。あこがれの人の相手役として歩んできた道程は、決して平たんではなかった。

 「あこがれだけでは、ここまで来られませんでした。温かくも、厳しいお言葉をたくさんいただきました。ご指導いただけたことが、本当にありがたく幸せだと思います。厳しいことは、言われるよりも言う方が、心痛むことだから」。

 充実期を迎えたコンビが臨むのは時代物。三成は落城寸前、茶々ら3姉妹を救い出し心通わせるが、主君秀吉は茶々を側室に望む。

 「石田三成がとても清廉な人物として描かれています。愛と義を選ぶならば、葛藤(かっとう)しながらも義を選ぶ。愛があるから義を選ぶ。そういう所に茶々はひかれたのでは...」。

 歴史は苦手だった。茶々についても「悪女にもたとえられるような強く激しい女性」といった認識しかなかった。勉強を進め、自分との思わぬ接点に気付いた。3姉妹の長女であること。実家は京都・久御山にあり、茶々が秀頼を生んだとされる淀城と近いこと。先入観がない分、大石氏の脚本も、すんなり心に入った。その三成像は、野々が見る大空そのものだった。

 「私の中で大空さんも、正義を貫く方。何ごとにも妥協されず、自分の選んだ正しい道を、脇目も触れずに進んで行かれる。『相手の顔色を気にするのではなく、まず自分自身がやるべきことをやるように』とおっしゃって下さった言葉が残っています。(三成と)同じものを感じました」。

 三成と茶々、大空と野々。序列こそ違うが、深い結びつき、きずなの強さは同じでありたいと思った。「役柄同様、私自身も大空さんについて行きたい」。

 おっとりとした口調。最後まで豊臣家を守ろうとした茶々のたくましさとはかけ離れて見える。茶々は、実父の浅井長政が伯父の織田信長から攻められ、母が再嫁すると、柴田勝家が信長配下だった秀吉に滅ぼされ、母の市は自害する。幾多の生命の危機を生き延びた。後に、宿敵・秀吉の側室となり、嫡男の秀頼を産む。秀吉の死後、大阪の陣では、女性ながらに陣中見舞いに立ったとも伝えられる。そんな女性だ。

 「性格は(茶々とは)正反対。私の場合、妹の方がしっかりしていたかも。でも、茶々の強さにあこがれます。たくさんの人が血を流した時代、女性が家を、子どもを守るために生き抜いた。命をかけて成し遂げた茶々はすごい」。

 とはいえ、実は、茶々の強さに近い魂が野々の中にもあった。小学生のころ、宝塚の名作「エリザベート」を見て入団を決意。クラシックバレエを習い、夢への努力は惜しまぬ一方で、農業を営む実家の手伝いも欠かさなかった。「毎日、野菜作りを手伝ってました。鶏も飼っていて、1度、襲われたことがあるので、雄は怖かったですね。でも、雌が卵を産むと、取り込みに行っていました」。

 家の手伝いを率先したのは、長女の自覚。「大空さんにも『すみ花は京都人だから、見かけはおっとりしていても、中身は強い』って言われるんですよ」。

 組替え即トップ就任という環境の中、自分を見失わず歩んできた。戦国の世に信念を貫いた茶々は、まぎれもなく野々自身の中にもある。【村上久美子】

 ◆美しき生涯-石田三成永遠の愛と義- 劇団では32年ぶりに外部から作家を招き、脚本は大石静氏。豊臣秀吉の側近として、卓越した政治力を誇った三成が主人公。柴田攻めなどで多くの武功をあげた加藤清正ら、豊臣家子飼いの武闘派武将らとは一線を画し、内政での功績が秀吉に高く評価され、重用される。その最中、茶々を愛してしまい、忠義とのはざまに揺れる姿を描く。大石氏が06年NHK大河ドラマ「功名が辻」を執筆中、下克上の戦国乱世にあって、武器ではなく、知力で治めようとする三成にひかれ、構想を温めてきた作品。

 ☆野々すみ花(のの・すみか)2月27日、京都府生まれ。聖母学院高を経て05年「エンター・ザ・レビュー」で初舞台。花組配属。07年2月「明智小五郎の事件簿 黒蜥蜴」で新人公演初ヒロイン。演技力の評価が高く、09年6月に大空とともに宙組へ異動し、娘役トップ就任。同年から池田銀行(現池田泉州銀行)イメージガール。161センチ。愛称「すみか」。

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