日刊スポーツのニュースサイト、ニッカンスポーツ・コムです。


プレシャス!宝塚のイメージ画像

夢の舞台を創り続けて90年あまり。時代とともにスターを生み、話題作を手掛けてきた宝塚歌劇団。華やかなステージを作り続ける裏側で夕カラジェンヌは日々、厳しいけいこと競争の中で切磋琢磨を続けている。連載「プレシャス! 宝塚」では、そんな夕カラジェンヌの横顔を伝えます。

プレシャス!宝塚は以下のURLに移転しました。
(http://www.nikkansports.com/entertainment/column/takarazuka/)

最新記事はこちらから→

「苦悩と心の闇」ヒントは尾崎豊/早霧せいな

11年4月28日 [11:47]

 新生・雪組の2番手男役スターが日ごと、輝きを増している。入団11年目の早霧せいなが、宝塚バウホール公演「ミュージカル ニジンスキー~奇跡の舞神~」(28日~5月8日)で、バウ単独初主演。天才ゆえの栄光、その後、破滅へ向かう伝説のバレエダンサー役に挑む。才能と狂気の世界を、身近だった天才カリスマシンガー・尾崎豊さんをイメージし、体当たりで演じる。東京公演は日本青年館で5月13~19日。

バウ単独初主演公演で、天才ダンサー役に臨む早霧せいな(撮影・村上久美子)
バウ単独初主演公演で、天才ダンサー役に臨む早霧せいな(撮影・村上久美子)

 涼風が似合う二枚目スターが、奇才ダンサーにふんする。眼光が鋭くなった。

 「宝塚を受験しようと決めてからバレエを始めた私でも、名前を知っている。そんな人を演じさせていただけるのはうれしい」。

 舞台は1910年ごろのパリ。新進バレエダンサー・ニジンスキーは、異例の官能的な振り付けを発表するなど、注目を集めていた。踊り子ロモラとの愛、ロシアバレエ団「バレエ・リュス」率いるディアギレフとの確執。2人の男女から愛され、やがて、精神的に追い詰められていく。

 「彼は、踊ること以外まったくと言っていいほどできなかった"バレエばか"。それゆえ、すごく純粋な人だと思う。そこが魅力。多くの人に愛され、応えようとして、心のバランスを崩したのでは...」。

 天才ゆえの苦悩と、心の闇。どう表現すべきか-。早霧の脳裏に浮かんだヒントは、早世した10代のカリスマと呼ばれたシンガー・ソングライター、尾崎豊さんだった。先日、俳優成宮寛貴が主演したテレビドラマ「風の少年~尾崎豊 永遠の伝説」を見た。

 「あれがまさに! でした。彼(尾崎)は歌でしたが、薬物に走り、最終的には若くして亡くなってしまう。ニジンスキーも天才と言われながら、狂気の世界へ入っていく。共通点を感じて、成宮さんの演技に見入っちゃいました」。

 尾崎世代ではないが、そのストレートな世界観に、もともとひかれていた。

 「実際に歌っている姿を見た記憶は、そんなにはないんですけど、特集映像などで見たことはありました。楽曲が好きで、アルバムも持っていますよ」。

 初アルバムにして、最高傑作と言われた「十七歳の地図」をよく聴いていた。ハードナンバーだけではなく、バラードも好きだった。

 「ダンスホールが好き。歌詞がストレートで情景が浮かぶ。そういうところが、心のままに踊りに向き合っていたニジンスキーとの接点に思えた。私も、その人が本当にそこにいるように演じたいですね」。

 「宙に停止しているよう」と称された跳躍力を誇ったニジンスキーも、ストレートに自身の感性を芸術にぶつけた男だった。彼が振り付けた有名な「牧神の午後」では、当時として画期的なセクシーさゆえ、賛否両論を巻き起こした。

 「(ニジンスキーの)映像は残ってなくて、逆によかった。写真などで、イメージを膨らませていくことができますから」。

 早霧自身も、感性を大事にするタイプだ。今回、スイスのベジャール・バレエ団出身で俳優の小林十市(じゅういち)氏が振り付けを担当し、「牧神の午後」などの名場面を再現する。

 「小林先生が(スイスの)経験と宝塚の良さを統合してくださって、印象に残る振りが多いと思います。ニジンスキーもクラシックバレエに新風を吹き込んだ人だから、マッチしているんじゃないかな」。

 踊りだけではなく、ニジンスキーの内面を掘り下げた人間ドラマでもある。演出の原田諒氏からは「誰が演じても彼にはなれない」と言われ、早霧せいなが演じるニジンスキーを追求すると決めた。

 入団丸10年。男役として、一人前とされる「男役10年」が過ぎた。下級生のころは「男役になろう」との思いが強すぎたが、今は力まずに舞台に立てる。「お客様が『1人の男を演じている』と思ってもらえるようになれたのでは」。

 宙組から異動し3年目。雪組2番手となり、責任を負う立場に変わった。「ニジンスキーじゃないけど、追い詰められていく感はあります。やせちゃうんですよね」。とはいえ、心も体も元気。4年ほど前から食べても太らなくなったそうだ。体形維持もプロの心構え。しっかり無意識のうちに自覚ができているではないか。【村上久美子】

 ◆バウ・ミュージカル ニジンスキー~奇跡の舞神~ 伝説の天才バレエダンサー、ヴァーツラフ・ニジンスキーの半生をミュージカルに仕立てた。ニジンスキーが世に現れた19歳当時から、精神を病み入院する場面までを描く。妻ロモラとは生涯をともにしたが、パトロンでもあったディアギレフにも愛され...。豊かな才能、美貌に恵まれすぎた男の栄華と、その破綻を描く。

 ☆早霧(さぎり)せいな 9月18日、長崎県佐世保市生まれ。県立佐世保西高を経て01年に「ベルサイユのばら2001」で初舞台。宙組に配属。06年4月「NEVER SAY GOODBYE」で新人公演初主役。08年6月「殉情」でバウ初主演(複数)。09年2月に雪組へ組替え。168センチ。愛称「ちぎ」。

このコラム記事には全0件の日記があります。

プレシャス!宝塚の最新記事





日刊スポーツの購読申し込みはこちら