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◆石井宏美(いしい・ひろみ) 福井県生まれ。高校時代に陸上、水泳などのスポーツに夢中になり、大学時代にはアジア大会、ユニバーシアードなど様々なスポーツの本格観戦を開始。その後、専門学校を経て、98年からサッカーai(日刊スポーツ出版社)の記者としてJリーグ、高校サッカーの取材のため、全国を飛び回る。現在もサッカーを中心に高校生スポーツなど、ライター活動を続ける。05年から出版している「日刊スポーツが見たペ・ヨンジュン」の編集を担当したことをきっかけに、韓国ドラマ、K-POPに魅せられ、現在に至る。

韓国の楽曲を和訳・・・作詞家Rina moonさんインタビュー

12年4月03日 [15:00]

 ソロシンガーSE7ENを始め、日本でも人気の男性5人組BIG BANG、女性4人組2NE1、現在韓国の若者の中で最も人気があると言われる男性6人組BEAST、女性5人組4Minute、"韓国の氷川きよし"と言われているパク・ヒョンビン、そして今年1月に日本デビューを果たしたキム・ヒョンジュンなど、数々の韓国出身アーティストの作詞を担当しているのが、作詞家、和訳詞・訳詞修正、リリックプロデューサーとして活躍しているRina moonさん。自らも歌い手として活動を続け、幅広い活動を続けている現在、日本で人気のK-POP人気を支える一人である彼女を直撃した。

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――日本でも人気のK-POPですが、現在のお仕事に関わるようになったのは?

「最初は歌手になることが夢で、12歳の頃に友達と一緒にダンススタジオに通い、歌やダンスを習い始めたのが、スタートでした。高校生になって、手当たり次第オーディションを受けるようになったんですが、いつも最後の方まで残っても、デビューには至らないという感じで。その時にある作曲家の方に出会い「ちょっと歌詞をつけてもらっていいかな?」と頼まれたことから、作詞をするようになったんです。また、その作曲家の方が当時SE7ENのプロデューサーをされていた方と知り合って、その方を通じ、私がつけた歌詞もその方の目に触れることになって。そこで気に入っていただけたようで、SE7ENさんの楽曲の歌詞を担当することになりました。それが確か18歳の頃、大学に入学したてのことでしたね」

――最初は歌手を夢見てということですが、作詞家としての仕事が多忙になるとに葛藤はありませんでしたか?

「なかったですね。作詞家としての仕事と同時に、歌も続けていましたし、現実的な問題として、好きなことを完全に仕事にするのはどうなのかなという気持ちもありました。その頃はステージで歌えるのであれば......という感じで引き受けていたんですが、作詞の場合は自分の才能を信じて使ってくださっているということで、それが自信にもなっていましたし、仕事としていろいろな面でしっかり交渉ができていたんですよね。だから、仕事にするなら作詞の方なのかなと冷静に判断をした部分もあると思います」

――作詞を依頼されるにあたっては、私たちでは予想できないような要求もあるのでは?

「たとえば、これまでに『明日までに4曲仕上げてください』というリクエストもありました。音楽、そして雑誌などもそうだと思うんですが、一般の方々の手元に届くまでいろいろな段階があり、たくさんの方々が関わるじゃないですか。だから、私のところでたくさん時間を頂いてしまうと、その後の作業に出てしまうんじゃないかって思って。だから、この仕事を始めてから、私はこれまでスピードが勝負だと思ってやってきたんですよ。クリーニング屋ではありませんが、"即日仕上げ"みたいな(笑)。もちろん、クオリティは下げず。でも、ずっとそういうスタンスでやっているせいか、今ではそれが自然と身についたような気がします。夜に依頼されて翌朝提出するなんていうことも、私にとってはもう普通のことになっていますね」

――すでに韓国でリリースされている曲に訳詞をつける際に一番注意されること、気を使うことは?

「まずはストーリーの軸を崩さないこと。その上で、自分らしい言葉使いで描いていくことを心がけています。また、ファンが求めるものと事務所の方が求めるものが異なることもあるので、そのあたりは中間地点を探りながら、どちらからも離れすぎないようにしています。初めてお仕事するアーティストの楽曲は、詞をつける楽曲はもちろん、過去のPV(プロモーションビデオ)なども見て、『あ、こんな言葉使いをするんだな。じゃあ、こんな感じかな?』と探りながらやっています」

――初めて作詞をされたSE7ENさんの楽曲を担当された時には苦労されたことも多かったのでは?

「実は苦労したことはあまりなくて、もうポンポン歌詞が出てきたんですよね。いつも常に引き出しはたくさん持っておきなさいと言われていますが、これまではまだ行き詰まったことがないですね」

――作詞をされる際に必要なイマジネーションは、普段どのように養われているのですか?

「まさに自然体ですね。友だちと遊んでいる時は思いっきり笑って大騒ぎして、逆に悲しい時はとことん悲しくなるまで音楽を聴いたりPVを見て泣いたり、とにかく思い切り喜怒哀楽を出すんです。そういう時に一番掴めるというか、ひらめくというか......。こういうシチュエーションの時はこういう感情なんだって、自分の頭の中のメモに残しているんです」

――この言葉は使わないというものはありますか?

「なるべく「つ」や「ざ」という言葉は使わないように作詞することが多いですね。たとえば「いつも」というフレーズの代わりに「どんなときも」という言葉にしたり。あとは「愛してる」と言いたいんだけど、そこはストレートに書かず、あえて遠回しの表現にしてみたり」

――ちなみに、Rina moonさんがこれまで韓国出身のアーティストの作詞を担当された中で、一番ご自身が伝えたいことがアーティストの声に乗ってうまく仕上がったなと感じた作品は?

「一番最初に作詞させていただいたのがSE7ENさんの楽曲でしたが、幼いながらも、レコーディングにも一緒に立ち会わせていただいて、ここはもう少しこうしたほうがいいかもしれないというようなことも直接伝えられることができたので印象深いです。最近では、キム・ヒョジュンさんの『KISS KISS』を作詞させていただいたのですが、キレイに耳に入ってきましたね。キム・ヒョンジュンさんは日本語も上手だし、何かいいものを持っていらっしゃる方だなと強く思いました」

――作詞という仕事はまさに"天職"という感じですが、以前から文章を書くことそのものにも興味があったのですか?

「手紙を書くことが大好きで、中学生の頃から、いつも机の引き出しにはレターセットがいくつもありましたね。今は結婚して広島に住んでいるんですが、東京の友達と毎月何通、何十通とやり取りしているんですよ。あと、一緒に住んでいますが、旦那さんに書いたり、家族にも送ったり。手紙って、自分の思いを書いたり、相手を気遣う気持ちなどいろいろ入って、物語のようなところがある。もちろん、自分の気持ちばかりは書けないけれど、ちょっと歌詞を書くのに似たところもあって」

――実際に作詞をするにあたっては、1曲大体どれくらいの時間で書き上げるものなんですか?

「これまでは早いもので1曲2時間、長いもので1週間くらいかかりました。大体3~5時間くらいで書きあげますが、出てこない時は出てこないもので、締めのフレーズがなかなか決まらない、見つからないこともあります。そういうときは一度、その楽曲の作詞から離れて気持ちを切り替える。フラットにするんです」

――1曲2時間で仕上げるとはすごいですね。

「納期が早い時は寝ないでパソコンに向かって、気づいたら朝だったということもありましたよ。でも、それがけっこう快感だったりして。仕上げられてよかった~という達成感が強くて。もう『3時間後に納めてくれ』と言われても大丈夫かもしれません(笑)」

――今、日本で多くの韓国出身アーティストがデビューし、活動していますが、ご自身が手掛けるアーティスト以外の楽曲も聞かれますか?

「好きなアーティストはいましたが、作る側になったので、今は楽しむというよりも、いかにいい詞を仕上げるかという気持ちの方が大きく、(好きなアーティストも)研究の対象になってしまいましたね。たとえば、そのアーティストが韓国語で新しい曲を出した時、自分だったらこういうふうな歌詞をつけたいなとイメージしたり。自分が詞を提供するアーティストには、アーティスト本人にもスタッフにも、そしてファンの方々にもひとめぼれさせたいし、次もこの人に書いて欲しいなと思わせるようなものを作りあげたいと思うんです。(韓国語の)原曲のイメージを崩さず日本語歌詞をつける自信はあるので、そこはこれからも強みにしていきたいところですね」

――今後、どのように音楽と関わっていきたい、活動していきたいとお考えですか?

「どんなに忙しくても、全くつらいと感じることはないですし、今、この作詞という仕事をとても楽しく感じています。だから、これからもこのスタンスで様々なアーティストに関わっていきたいと考えています。昔よく『韓国語のアーティストに作詞を提供したり、日本語の歌詞を提供したい』という話をしていたんですが、それが現実になった。そういう意味で、もちろんそこに自分からアクションを起こすということは必要ですが、願っていれば叶えられると思うんです。だから、これからもマイペースながらも、日々新しいものに刺激を受けながら、いろいろなことにチャレンジしていきたいですね」

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Rina moon
■2005年、18歳の時に韓国人男性アーティストSE7ENの楽曲「FOREVER MIND」で作詞家デビュー。現在、作詞家、和訳詞・訳詞修正、リリックプロデューサー等を行っている。SE7ENの他にもBIG BANGや2NE1、BEAST、4Minute、キム・ヒョンジュンらに作詞を提供。3月28日発売の2NE1のアルバム「COLLECTION」では『I don't care』の日本語バージョンを作詞している。
また、自らも歌手として活動を続け、2010年からテレビ新広島「人気もん!」にて本人作詞作曲のオリジナル楽曲『SHINE』がエンディングテーマに起用されている。2010年、サッカー・J1リーグ、サンフレッチェ広島の高萩洋次郎選手と結婚

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