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2010年6月22日

オファー殺到!46歳の新人モデラーが追い掛ける夢

 ホラー映画の金字塔といわれる、1984年に製作された「エルム街の悪夢」のリメイク版が、26日に日本でも公開されます。「エルム街の悪夢」はスピンオフも含めて過去8作品が製作されていますが、今作はオリジナル版の完全リメイク。シリーズを重ねるごとにコミカルさを増していた主人公の殺人鬼フレディ・クルーガーですが、今作ではオリジナルに沿って残忍に標的を狙う完全ホラーとして描かれています。

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 見る者に恐怖を与えるフレディの顔は、この作品の要。今作では、そのフレディの顔を日本人CGアーティストが担当しています。証券会社のエリート・サラリーマンから脱サラしてモデラーになったという異色の経歴を持つ成田昌隆氏は、46歳の新人として業界で注目を集めています。ハリウッドやロンドンからもオファーが殺到する成田氏にインタビューしました。

 モデラーとはモデリング(CGの三次元画像で物体の形状を作る)をするCGアーティストのこと。物の形を作るモデリングは、CG制作の最初のステージ。「エルム街の悪夢」では、顔の筋肉や骨格などを人体模型を基に研究しながら顔の傷を作っていく作業に、約半年を費やしました。

 「フレディの火傷を担当しました。歯も僕が作りました。何が大変かというと、顔だから当然、口を開けたり笑ったりするたびに傷も動くので、ちょっとでもずれるとあれ?と思いますよね。それを自然に見えるようにするトラッキングという作業に時間がかかりました。ほとんどの人は特殊メークだと思っているようですが、顔にあんなに深い穴をあけることは不可能。でも、CGだと分からなかったことは、僕らにとっては成功です」

 10歳のころから両親と一緒にテレビでハリウッド映画を毎晩のように観ていた成田氏にとって、映画は常に身近な存在だったといいます。就職してサラリーマンとなり、米国に駐在する機会に恵まれたことが大きな転機となりました。

 「日本にいる時はまったく手の届かない世界だと思っていましたが、米国生活に慣れ、知り合いも増えて周りが見えてくると、ハリウッドを身近に肌で感じるようになってきました。映画を観ながら、エンディングのクレジットに自分の名前がないことに苛立ちすら覚えるようになり、漠然とハリウッドで仕事がしたいと考えるようになりました」

 映像業界の経験は皆無の成田氏がモデリングを始めたきっかけは、1997年に参加した映像関連のコンベンションで、CGアプリケーションと出会ったことだったそうです。

 「デモを見て自分でも出来るのでは?と思い、1000ドルちょっとを投資してソフトを購入して、自宅に8台のコンピューターを設置して独学で勉強しました。3年間、会社が終わると毎晩CGに明け暮れ、3本の短編アニメを作りました。それらの作品がPDI(現在のドリームワークス)の目に止まって面接を受け、また「スタートレック」を制作していたステーションXからは実際に仕事のオファーをもらいましたが、グリーンカードの交付を待つ間に父親の他界や長女の出産、昇進などが重なり、夢を断念しました」

 それから10年、勤めていた会社が買収され、海外事業が大幅縮小されることが決まった時、自ら仕事を辞めてもう1度夢に挑戦することを決意。

 「ハリウッドのCG専門学校で3カ月の特訓コースを受講し、デモリールを各社に送って就職活動を行った結果、CG業界大手のデジタル・ドメインからモデラーとしてCM作品制作のオファーをもらいました。最初の仕事は映画「トランスフォーマー/リベンジ」の公開に合わせたキャンペーンとして放送されたバーガーキングのCMでトランスフォーマーのロボットを、2本目は日本でもおなじみのAUDIのCMのモデリングを担当しました。各社から返事を待つ1カ月半は本当につらく、不安の日々でしたが、今は充実した日々を送っています」

 現在は、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズやスーパーボウルのCMなどで知られるメソッドでリードモデラーとして、「エルム街の悪夢」をはじめディズニーの「魔法使いの弟子」などのハリウッド映画を手掛けています。地理的な問題で実現しなかったものの、ロンドンから「ハリー・ポッター」の最終章に参加しないかというオファーも届くほどの売れっ子。そんな成田氏は、ハリウッドでアメリカンドリームをかなえた日本人の1人。「人生いつから始めても遅くない」と語る成田氏の夢は、死ぬまで現役を続けることだといいます。いつの日かアカデミー賞の大舞台に立つ日が来るかもしれません。

<写真・上=46歳の新人モデラーとして注目を集める成田昌隆氏>

<写真・下=成田氏がCGでデザインしたホラー映画のキャラクター>

(このコラムの更新は毎週火曜日です)


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ハリウッド直送便
千歳香奈子(ちとせ・かなこ)
 1972年、札幌生まれ。92年に渡米しシアトル大学付属語学学校に入学。93年サンタモニカ大学に入学し、写真を専攻。95年に同大学を卒業後、ロサンゼルスでテレビのコーディネーターなどを経験。96年に日刊スポーツ新聞社アトランタ支局でアトランタ五輪取材をアシスタント。99年6月から、ロサンゼルスを拠点にハリウッドスターのインタビューや映画情報を取材中。2008年1月末に学研より新書「ハリウッド・セレブ」を出版。
公式HPはこちら

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