2009年8月18日
「Ponyo」が「千と千尋」上回る927館で公開
昨夏に日本で大ヒットした宮崎駿監督のアニメ「崖の上のポニョ」が「Ponyo(ポニョ)」の英題で14日、ついに全米公開されました。03年にアカデミー賞長編アニメーションを受賞した「千と千尋の神隠し」を上回るジブリ作品としては過去最多となる全米927館での公開。ロサンゼルス・タイムズ紙やニューヨーク・タイムズ紙など米主要紙は、「ポニョ」の評論を掲載するなど、期待の高さがうかがえます。
ロサンゼルス・タイムズ紙では、宮崎監督のインタビューを掲載し、「善VS悪を超えた作品」と紹介。USトゥデイ紙は、「子供が感じる不思議さをとらえた作品」と評しています。シカゴ・タイムズ紙やニューヨーク・タイムズ紙、エンターテイメント・ウィークリー誌など主要メディアもこぞって「A」評価を与えており、早くも来年のアカデミー賞受賞への期待の声もあがっています。
すでに劇場で映画を観たファンの感想も上々。ブログ上では「過去のジブリ作品の中でも一番の傑作」など、賞賛の嵐となっています。また、鑑賞した後に子供たちがポニョの歌を口ずさむなど、ポニョはアメリカの子供たちの心もわしづかみにしているようです。
今作は、「トイ・ストーリー」や「ファインディング・ニモ」など数々のヒット作を生み出しているアニメ界の大物ジョン・ラセター氏が米国版の制作総指揮を担当し、吹き替えの声優にはケイト・ブランシェットやマット・デーモン、ティナ・フェイらハリウッドのトップスターを起用。ポニョの声は、人気アイドル、マリー・サイラスの妹ノア・サイラスを、宗介の声は人気アイドルグループ、ジョナス・ブラザーズのフランキー・ジョナスを抜てきし、子供だけでなく、ティーン層の観客獲得狙っているようです。アカデミー賞授賞式は欠席した宮崎監督が今回は自ら渡米し、先月サンディエゴで行われた米国最大のコミックやアニメの祭典「サンディエゴ・コミック・コン」に参加してシンポジウムのパネリストを務めたり、「バークリー日本賞」を受賞した米カリフォルニア大学バークリー校で講演。米メディアの取材にも応じるなど、今作品に対する配給元のディズニーの宣伝への力の入れようもうかがえます。
その背景には世界的にも有名で、米国にもファンが多い宮崎監督作品ですが、意外にも米国での興行はこれまで苦戦が続いているというディズニーの台所事情もあるようです。アカデミー賞を受賞した「千と千尋の神隠し」ですら、米国の興行はわずか1000万ドル。05年に公開された「ハウルの動く城」は470万ドルという結果に。コンピューター・グラフィック(CG)が全盛のアメリカのアニメ界。さらに最近は画面が飛び出す3Dがブームとなる中、手書き感覚の「ポニョ」がどこまで米国で受け入れられるのか興味のあるところ。ラセター氏は、ロサンゼルス・タイムズ紙のインタビューで、「宮崎監督は今生きている中でもっとも優れたアニメーション監督。アメリカの多くの子供たちが繰り返し「トトロ」を観て育ってきた」と宮崎監督を大絶賛。CGや3Dの時代になっても、手書きのアニメーションへの人々の興味は薄れることはないと語っています。
夏休み終盤となったこの時期、多くの親子連れが映画館で「ポニョ」を楽しむ姿が見られそうです。
(このコラムの更新は毎週火曜日です)
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- 千歳香奈子(ちとせ・かなこ)
- 1972年、札幌生まれ。92年に渡米しシアトル大学付属語学学校に入学。93年サンタモニカ大学に入学し、写真を専攻。95年に同大学を卒業後、ロサンゼルスでテレビのコーディネーターなどを経験。96年に日刊スポーツ新聞社アトランタ支局でアトランタ五輪取材をアシスタント。99年6月から、ロサンゼルスを拠点にハリウッドスターのインタビューや映画情報を取材中。2008年1月末に学研より新書「ハリウッド・セレブ」を出版。
- 公式HPはこちら
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