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企画特集


2009年1月13日

期待作「ウォッチメン」に訴訟問題、その理由は…

 昨年はアメコミ原作の映画「ダークナイト」と「アイアンマン」が年間興行ランキングで1位と2位に輝く大ヒットとなったハリウッド。アメコミ作品はどれも根強い人気がありますが、今年は3月に世界同時公開される「ウォッチメン」に期待が持たれています。しかしこの作品、なんと公開前に訴訟問題が勃発。公開そのものが危ぶまれた法廷論争の結果がいよいよ20日に下されることになっています。判決次第では公開に大きな影響を及ぼすことも充分に考えられ、業界のみならず映画ファンの注目の的にもなっています。

 実はこの作品、映画化されるまでに20年以上の年月がかかったいわく付き。当初は20世紀フォックスで企画開発が進められていましたが、その後はワーナー・ブラザーズ、ユニバーサル、パラマウントと企画がたらいまわしとなり、最後は開発中の企画を買い取る(ターンアラウンド)形でワーナーに権利が戻ったのです。当然、その間に主演俳優候補にはアーノルド・シュワルツェネッガー、ダニエル・クレイグ、ジュード・ロウといった名前が次々とあがり、テリー・ギリアムら多くの監督が関わってきました。しかし、どの企画も実現することはありませんでした。紆余曲折を経てようやく、07年に映画化不可能と言われた「300<スリーハンドレッド>」を手がけたザック・スナイダー監督がメガホンを取り、ジャッキー・アール・ヘイリー、ビリー・クラダップ、パトリック・ウィルソンといったキャストでクランクイン。総制作費は1億ドルといわれ、09年の注目作として満を持して3月に世界同時公開が決まっていました。

 ところが昨年2月にフォックスがワーナーに対して権利の侵害であるとして訴訟を起こしたのです。連邦裁判所が昨年8月にこの訴えを正式に受理し、法廷論争へと発展していました。映画化権と脚本の権利を最初に取得したフォックスは、それを91年にラルゴ・インターナショナルに売却。3年後にラルゴは廃業となり、同作の権利はプロデューサーのローレンス・ゴードン氏が譲り受けました。しかしこの時点で、「フォックス以外で映画化する場合は事前に映画化権を買い戻す」というオプション契約が結ばれていました。しかし、94年のワーナーのターンアラウンドは不完全で、フォックスは配給権はまだ自社にあると主張したわけです。企画開発に100万ドル以上を費やしたというフォックスは、金銭面での賠償ではなく、公開そのものの中止を求めており、ワーナー側が裁判で敗訴すれば公開中止に追い込まれる可能性もあります。

 同作は80年代にスーパーヒーローが実在した歴史の別の世界を描いており、ベトナム戦争、ケネディ元大統領の暗殺などの事件を背景に、政府によって引退させられたスーパーヒーローたちが次々に殺害されていきます。そして世界を揺るがす陰謀が展開されていくという物語で、その壮大なスケールから映像化困難と言われた作品の一つでした。

 今年最初の超大作。果たして無事に公開されるのでしょうか・・・。

(このコラムの更新は毎週火曜日です)


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ハリウッド直送便
千歳香奈子(ちとせ・かなこ)
 1972年、札幌生まれ。92年に渡米しシアトル大学付属語学学校に入学。93年サンタモニカ大学に入学し、写真を専攻。95年に同大学を卒業後、ロサンゼルスでテレビのコーディネーターなどを経験。96年に日刊スポーツ新聞社アトランタ支局でアトランタ五輪取材をアシスタント。99年6月から、ロサンゼルスを拠点にハリウッドスターのインタビューや映画情報を取材中。2008年1月末に学研より新書「ハリウッド・セレブ」を出版。
公式HPはこちら

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