2008年11月04日
黒人大統領に抵抗がないのは…ハリウッドのおかげ?
4日に迫った米大統領戦で優勢に立つバラク・オバマ民主党候補が当選すれば、史上初の黒人大統領の誕生となります。しかし、ハリウッド映画の世界では当の昔から黒人大統領が存在しています。
最近では人気ドラマ「24」で黒人のパーマー大統領が登場していますが、36年も前にジェームズ・アール・ジョーンズが、「ザ・マン/大統領の椅子」(72年)で現大統領が事故死したために史上初の黒人大統領となる上院議員を演じています。さらに、さかのぼると75年も前の映画「Rufus Jones for President」(33年)で、7歳のサミー・デービスJrが黒人大統領を演じていたのです。ロサンゼルス・タイムズ紙によると、これがハリウッドで最初の黒人大統領だったとのこと。近年では「ディープ・インパクト」(88年)でのモーガン・フリーマンや、「ヒップホップ・プレジデント」(03年)でひょんなことから大統領戦に出馬する男をクリス・ロックが演じたりもしています。
しかし、現実の世界では長年にわたって黒人大統領誕生はあくまでもフィクションであり、夢物語でしかありませんでした。クリスはかつて「私の生きている間に、黒人大統領が誕生することはないかもしれない」との本音をのぞかせていました。しかし、「24」でデニス・ヘイスバートが初の黒人大統領を演じ、その後のシリーズで弟役だったD.B.ウッドサイドも兄の意志をついで大統領になりました。このドラマの影響は大きく、この数年間で黒人大統領に対する考え方が大きく変わってきたように感じます。このドラマがきっかけで黒人大統領に投票することに抵抗がなくなったという人も大勢います。デニスは「黒人大統領は現実に起こりうるという考えを持たせるきっかけとなったと思う」とインタビューで語っていました。実際に「24」がオバマ候補にとって追い風になっているというメディアもあります。
先日、AOLの映画サイトが「映画上でもっともふさわしい大統領」というオンライン調査の結果を発表しましたが、「エアフォース・ワン」のハリソン・フォードに次いでモーガン・フリーマンが2位にランクインしました。これも黒人大統領への抵抗が少なくなっていることの現れの一つでしょう。一般的に、人々は映画上の大統領にはヒロイズムを求めています。ハリソン演じる大統領はハイジャック犯と勇敢に戦い、モーガンが演じた大統領も彗星の衝突から人類を守ろうと戦います。8年間にわたったブッシュ政権での長引く戦争や経済の破綻などに嫌気がさしている人々にとって、オバマ候補は今の世の中を変えてくれる希望の星となっているのかもしれません。
これまでフィクションの黒人大統領を作ってきたハリウッド関係者たちは、「こんなに早く現実のものになるとは」と驚きを隠せずにいます。「ヒップホップ・プレジデント」の脚本家の一人は、「映画を作っていたときは、オバマ候補はまだ政治家の道を歩き出したばかり。こんな日が来るなんて考えてもいなかった」と語っています。現実となった今、ハリウッドは今後どんな大統領像を描いていくのでしょう。
オバマ大統領誕生は、ハリウッド映画の未来にも大きく影響を及ぼしそうです。
(このコラムの更新は毎週火曜日です)
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- 千歳香奈子(ちとせ・かなこ)
- 1972年、札幌生まれ。92年に渡米しシアトル大学付属語学学校に入学。93年サンタモニカ大学に入学し、写真を専攻。95年に同大学を卒業後、ロサンゼルスでテレビのコーディネーターなどを経験。96年に日刊スポーツ新聞社アトランタ支局でアトランタ五輪取材をアシスタント。99年6月から、ロサンゼルスを拠点にハリウッドスターのインタビューや映画情報を取材中。2008年1月末に学研より新書「ハリウッド・セレブ」を出版。
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