2008年9月02日
映画の都の機能失いつつあるハリウッド
ロサンゼルスはハリウッドセレブの住む街として注目される一方で、近年は映画の都ハリウッドとしてはその機能を失いつつあります。ロサンゼルス近郊で撮影される映画は年々減る一方で、ロサンゼルスの町並みはスクリーンから消えつつあります。制作費の高騰のため、経費が安い国外や税制優遇措置を導入する他州に撮影隊が流れていることが原因ですが、昨年から今年にかけては長引いた米脚本家組合(WGA)のストライキの影響も大きいでしょう。
そんな中、ロサンゼルス・タイムズ紙が、過去25年間ロサンゼルスで撮影された映画からベストを選ぶ「25ベストLAフィルム」特集を行いました。同紙の記者、編集者が選んだベスト10を紹介してみましょう。
1.「LAコンフィデンシャル」(97年)
2.「ブギー・ナイツ」(97年)
3.「ジャッキー・ブラウン」(97年)
4.「ボーイズ・ン・ダ・フッド」(91年)
5.「ビバリーヒルズ・コップ」(84年)
6.「ザ・プレーヤー」(92年)
7.「クルーレス」(95年)
8.「レポマン」(84年)
9.「コラテラル」(04年)
10.「ビッグ・リボウスキ」(98年)
ベスト3が97年公開作品という結果になっていますが、実はロサンゼルスでの撮影は近年は96年のピークを境に右肩下がりに減少をしています。偶然にもベスト3が、この96年に撮影されたものというのは面白い結果です。2000年以降の作品はトム・クルーズ主演の「コラテラル」1本ですが、ベスト25には他に「マルホランド・ドライブ」(01年)とアカデミー賞を受賞した「クラッシュ」(04年)しかランキングされていません。
映画の中で見たやしの木、青い空と海、ビバリーヒルズの高級住宅街は、子供の頃から憧れの的で、初めてロサンゼルスを訪れたときは、「映画と同じだ!」と感動したものです。個人的には、「プリティ・ウーマン」は大好きな映画の一つで、初めて舞台となったビバリーヒルズに行ったときの感動は忘れられません。他には「スピード」や「シティ・オブ・エンジェル」「ダイ・ハード」なども印象に残っている作品です。今年は、ウィル・スミス主演の「ハンコック」がほぼ全編ロサンゼルスで撮影されて話題となりましたが、設定はロサンゼルスでも撮影は別の都市で、というパターンも多く寂しい限りです。
今年は8月15日時点で、ロサンゼルスでの撮影許可が申請されたのは5309件で、今年も前年比マイナスになるのは確実視されています。WGAのストライキがひと段落した今夏、今度は全米映画テレビ製作者協会(AMPTP)との間の契約が切れたことで米俳優組合(SAG)がストライキに突入する可能性も浮上し、各スタジオとも大作映画の撮影を大幅に早めたことも大きく影響しています。ロサンゼルス・タイムズ紙によると、現時点でロサンゼルス市内で撮影されている大作は、WGAのストライキの影響で撮影が遅れていた「ダ・ヴィンチ・コード」の続編「天使と悪魔」がソニーのスタジオ内で撮影されている以外は「トランスフォーマー2」のみだといいます。
各スタジオは6月からストライキに備えて撮影を減らしていたことはもちろんですが、ストライキ突入の可能性が薄れて撮影が再開されつつある現在も、ディズニーは「プリンス・オブ・ペルシャ~時間の砂~」をモロッコで、20世紀フォックスは大ヒット作「ナイトミュージアム」の続編をカナダ・バンクーバーで、「Xーメン」の続編をニュージーランドでそれぞれ製作中。ワーナー・ブラザーズはクリント・イーストウッド監督の新作「Gran Torino」をミシガン州でクランクアップさせたばかりと、カリフォルニア離れは顕著です。
ハリウッドが再び映画産業の街として輝く日は来るのでしょうか…。
(このコラムの更新は毎週火曜日です)
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- 千歳香奈子(ちとせ・かなこ)
- 1972年、札幌生まれ。92年に渡米しシアトル大学付属語学学校に入学。93年サンタモニカ大学に入学し、写真を専攻。95年に同大学を卒業後、ロサンゼルスでテレビのコーディネーターなどを経験。96年に日刊スポーツ新聞社アトランタ支局でアトランタ五輪取材をアシスタント。99年6月から、ロサンゼルスを拠点にハリウッドスターのインタビューや映画情報を取材中。2008年1月末に学研より新書「ハリウッド・セレブ」を出版。
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