2008年6月17日
「新ハルク」のE・ノートンにインタビュー
「インクレディブル・ハルク」に主演するエドワード・ノートンにインタビューしました。
今作は本来なら「ハルク」(03年)の続編になるはずの作品ですが、前作は期待された興行収入をあげられずに失敗。そのため、キャストもエリック・バナからノートンに、恋人役もジェニファー・コネリーからリブ・タイラーに交代。監督もアン・リー監督から 「トランスポーター」シリーズで知られるルイ・レテリエ監督に一新され、リニューアル作品として公開されました。
軍の科学実験で大量の放射能を浴び、その副作用で怒りや恐怖の感情が高まると緑の巨人に変身してしまう力を身につけてしまったブルース・バナー博士を演じたノートンは、脚本の執筆にも関わる気合の入れよう。脚本のクレジットを巡って組合と対立したり、編集を巡るトラブルなどもあったようですが、作品は最初から最後まで盛りだくさんのジェットコースターに乗っている気分で楽しめるエンターテインメント作品に仕上がっています。特にNYでハルクと悪役が対決する決闘シーンは見もの。そして、ラストにはサプライズのゲストまで登場します。
子供のころからバットマンやスパイダーマンなどアメコミを読んで育ったというノートン。しかし、この役を演じることに特にこだわりやプレッシャーなどはなかったのだとか。最初にキャスティングのニュースを聞いた時はあのノートンがハルク?と思ってしまいましたが、「他人がどう思うかは気にしない」と本人はいたってマイペースでした。
殺人の疑いをかけられた気弱な少年を演じたデビュー作「真実の行方」(96年)で主演のリチャード・ギアを食う熱演でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたのを筆頭に、白人至上主義に傾倒する若者から弁護士、天才幻影師、エグゼクティブ、精神障害者を装った窃盗犯など幅広い役柄を演じ、ハリウッド屈指の若手演技派として知られるノートン。どんな役柄でも見事に演じ、そのたびにまったく異なる顔を見せていますが、本人は「色々な人物の人生を体験できるのは楽しい」と笑います。
演じる人物を研究することから役作りを始めるというノートン。「マジシャンを演じるならまずはマジックを習い、ポーカープレーヤーをやるならポーカーを学ぶ」。そうやって別人になるために様々なことを学ぶのが楽しいと言います。それ以外も関係者に会って話しを聞いて自分なりにイメージを膨らませて役作りをするそうで、演技派と言われる所以はそんなところにも現れています。
「アメリカン・ヒストリーX」のスキンヘッドのマッチョな肉体を覚えている人も多いと思いますが、実際の彼はとても線が細く、繊細なイメージ。「演じる役柄によってトレーニング方法も変える」そうで、今回は科学者であるブルースは線の細い役どころなため、さほど体を鍛えることはしなかったそうです。そのあたりにも計算された役作りを感じます。
エール大学卒というインテリのノートンは、俳優になる前に叔父の仕事を手伝うために大阪に長期滞在していたことがあります。日本語もかなり話せると聞いていましたが、本人は「もうほとんど忘れてしまったよ」と笑っていました。それでも、「お好み焼きが好きだった。阪神タイガースの試合を見に行ったよ」と、大阪時代の思い出話も語ってくれました。また、数年前には仕事で滞在した東京で、大相撲も見に行ったことがあるそうで、日本好きな一面もみることができました。
13日の金曜日に全米公開された「インクレディブル・ハルク」は、M・ナイト・シャラマン監督の新作「ハプニング」との対決を制して、1位スタートを切りました。前作を超えることができるか期待されています。ノートンは、今後も母を殺害した殺人犯を探し出す「マザーレス・ブルックリン」や、警察官を演じる「プライド・アンド・グローリー」など出演作が目白押し。次はどんな演技を見せてくれるのか楽しみです。
(このコラムの更新は毎週火曜日です)
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- 千歳香奈子(ちとせ・かなこ)
- 1972年、札幌生まれ。92年に渡米しシアトル大学付属語学学校に入学。93年サンタモニカ大学に入学し、写真を専攻。95年に同大学を卒業後、ロサンゼルスでテレビのコーディネーターなどを経験。96年に日刊スポーツ新聞社アトランタ支局でアトランタ五輪取材をアシスタント。99年6月から、ロサンゼルスを拠点にハリウッドスターのインタビューや映画情報を取材中。2008年1月末に学研より新書「ハリウッド・セレブ」を出版。
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