2008年5月20日
物価高が家計直撃、ヒット続々で映画一人勝ち?
ガソリンの高騰、それに伴う物価高が一般家庭の家計を直撃しているアメリカ。特に車社会のロサンゼルスではその影響が顕著で、朝晩の渋滞が減っているなどと言われていますが、全国的に今年の夏は旅行を控える傾向が強まっているようです。今月末の連休メモリアル・ホリデーも、「人々は家でBBQをして過ごすでしょう」とテレビでも報道されるほど。
そんな不況の中にあって、今年の夏は映画業界が一人勝ちしそうです。旅行の代わりとなる娯楽として、コストが低くて楽しめる映画館に人々の足が向かうということはもちろんありますが、それだけではなく、スクリーンの中のスーパーヒーローたちが現実逃避したい人々の心の癒しとなりそうなのです。
実際に今月2日に公開された「アイアンマン」は、公開3日間で1億ドルを超える大ヒットとなりました。天才発明家で軍事企業の社長である主人公トニーが、アイアンマンとなってテロ撲滅のために戦う同作は、マーベル・コミックの人気作を初めて映画化したもの。「スピード・レーサー」を抑えて2週連続で1位に輝く快進撃を続けています。
ほかにも、超人ハルクが主人公の「インクレディブル・ハルク」、バットマン・シリーズ最新作「ザ・ダーク・ナイト」、地獄で生まれたヒーローを描いた「ヘルボーイ2」と、続々とスーパーヒーローが主人公の作品が公開を控えています。さらに、22日公開の「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」では19年ぶりにあの懐かしいヒーローも復活。ウィル・スミスが、「ハンコック」で史上最も嫌われ者のヒーローを演じるなど、この夏のハリウッドはヒーロー作品のオンパレードなのです。
気になるヒーロー対決は、インディ・ジョーンズの圧勝と予想されています。エンターテイメント・ウィークリー誌は、3億5590万ドルの大ヒットと予想しています。それに次ぐのは「ハンコック」の2億8000万ドルですが、早くも2億ドルを突破した「アイアン・マン」の存在も見逃せません。「ザ・ダーク・ナイト」も2億5000万ドルを超えると予想されているだけに、どのヒーローも息をつく暇がなさそうです。
もちろんこの傾向は、不況とは関係ない偶然の一致ですが、絶妙なタイミングは映画業界にとっても嬉しい限りのようです。さらに今夏のハリウッドは前年に比べて大作の続編が減っていることも客足を増やすことに一役買いそうだといわれています。今年は、「ハンコック」「ウォンテッド」「カンフー・パンダ」などオリジナルの大作が公開されるため、昨今の続編ラッシュに飽き飽きしていた人々にとっては、新鮮な夏になるはず。
また「ナルニア国物語 第2章:カスピアン王子の角笛」や「ファインディング・ニモ」のアンドリュー・スタントン監督による宇宙のロボットを題材にしたピクサーの新作「WALL・E ウォーリー」、ドリームワークスの新作アニメ「カンフー・パンダ」などファミリー向け作品も充実しており、今夏はテーマパークに出かけるより映画館へという家庭が増えそうです。「セックス・アンド・ザ・シティ」や「ベガスの恋に勝つルール」と言ったラブコメ、M・ナイト・シャマラン監督の新作「ザ・ハプニング」、「The X-File 2」と言ったスリラーまで大人も楽しめる作品も目白押しとあって、不況の中でどこまでハリウッド映画が興行を伸ばすことができるかに注目が集まっています。
10ドル(映画チケット代の平均)で娯楽を楽しむのが今夏のトレンドとなりそうです。
(このコラムの更新は毎週火曜日です)
- 千歳香奈子(ちとせ・かなこ)
- 1972年、札幌生まれ。92年に渡米しシアトル大学付属語学学校に入学。93年サンタモニカ大学に入学し、写真を専攻。95年に同大学を卒業後、ロサンゼルスでテレビのコーディネーターなどを経験。96年に日刊スポーツ新聞社アトランタ支局でアトランタ五輪取材をアシスタント。99年6月から、ロサンゼルスを拠点にハリウッドスターのインタビューや映画情報を取材中。2008年1月末に学研より新書「ハリウッド・セレブ」を出版。
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