2008年4月08日
Japanブームは続くが、これからが本当の挑戦
「リング」「呪怨」などJホラー(ジャパニーズ・ホラー)が次々とリメークされ、一大Jホラー・ブームを巻き起こしたハリウッド。今年は「ドラゴンボール」「マッハGoGoGo」などアニメの実写版が次々に制作されており、Japanブームはまだまだ続いています。そんな中、「世界における日本映画の過去・現在・未来」というテーマで、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)でシンポジウムが開催されました。
アメリカで活躍する映画監督・プロデューサーのすずきじゅんいち氏、細谷佳史氏、日本映画に造詣の深い映画評論家のロビン・メンケン氏、ニコラス・ラッカ氏が、パネルディスカッションを行い、ハリウッドにおけるJホラーブームの実態や日本映画が世界進出するにはどうしたら良いかなどをテーマにディスカッションが行なわれました。
「マリリンに逢いたい」などで知られるすずき監督は現在はロサンゼルス在住で06年にはアメリカで「ホーンテッド ハイウェイ」を監督、プロデュースしています。ロス在住の細谷監督は、97年にニューヨークで暮らす日本人の姿をコミカルに描いたインディーズ映画「Sleepy Heads」で長編映画デビューを果たしています。南カリフォルニア大学など様々な学校で映画と舞台の脚本について講義するなど世界各国で幅広く活躍するメンケン氏、日本在住歴もあるラッカ氏を交えたパネルディスカッションには、アメリカ在住の日本人だけでなく、日本映画や文化に興味のあるアメリカ人らが大勢集まりました。
なかでも興味深かったのは、ラッカ氏がJホラーブームを「まるでカリフォルニアロールのようだ」と揶揄した点。カリフォルニアロールは、アメリカで生まれた新しいお寿司。つまり昨今のJホラーは、日本のテイストがするアメリカ生まれのホラーであると言うのです。
「リング」「呪怨」のリメーク版が大ヒットし、Jホラーブームを巻き起こしましたが、ラッカ氏によるとJホラーは2000年までに死んだという。それ以降は、ハリウッドでリメークされることを目的に作られるようになり、ハリウッドはこぞってそのリメーク権を買い取り映画化しているのが現状だと説明。Jホラーのリメークは、低予算で簡単に制作することができ、固定ファンもいるためため収益が見込めると言われていますが、ラッカ氏は「ハリウッドの人たちは、自分たちならもっと素晴らしい作品を作れるはずだと思っている」という鋭い指摘もありました。
また最近ではタイで社会現象となったホラー映画「シャッター(邦題:心霊写真)」や、「TheEye」などJホラーではないアジアのホラー作品もリメークされていますが、この点に関しても「日本人監督を起用すればJホラーのように見えると思っているが、これらはJホラーではない」と指摘するなど、鋭い視点でJホラーブームを斬っていたのが印象的でした。
リメーク作品やアニメの実写版が次々と作られる中、邦画がアメリカで上映されることはまれ。映画産業が発達しているハリウッドでは、わざわざ外国語映画を見る必要がないということもありますが、それ以上にアメリカには字幕文化がないことが大きな要因と言われてきました。しかし、それ以外にも「日本映画は小津(安二郎監督)作品や後期の黒沢(明監督)作品のように、プロットや起承転結があまりないことが特徴で、それは外国人には理解し難い」(すずき監督)という意見も出ていました。
ハリウッドの物まねをする必要はないが、これからは海外の人も理解できる起伏のあるプロットが必要とされるのではないかとすずき監督は語っていました。他にも、アメリカと日本の製作費の違いや、労働組合がない日本とアメリカのシステムの違いなども世界に通用する作品を生み出せない理由の一つであると細谷氏は指摘。「1000万ドルを日本映画に出資してくれたら、ゴジラ級のすごい作品が作れる」と語っていました。
一方でJホラーやアニメなど日本のサブカルチャーの普及で日本映画に興味を持つアメリカ人は確実に増えています。特に若い世代は生まれた時から日本アニメやゲームに親しんできただけに、パフィーがアメリカでブレイクしたように今後は日本映画そのものにも注目が集まってくるかもしれません。ハリウッド流の作品作りで世界に飛び出した韓国映画のように、日本からも世界を狙える作品が生まれることを期待したいと思います。
(このコラムの更新は毎週火曜日です)
- 千歳香奈子(ちとせ・かなこ)
- 1972年、札幌生まれ。92年に渡米しシアトル大学付属語学学校に入学。93年サンタモニカ大学に入学し、写真を専攻。95年に同大学を卒業後、ロサンゼルスでテレビのコーディネーターなどを経験。96年に日刊スポーツ新聞社アトランタ支局でアトランタ五輪取材をアシスタント。99年6月から、ロサンゼルスを拠点にハリウッドスターのインタビューや映画情報を取材中。2008年1月末に学研より新書「ハリウッド・セレブ」を出版。
- 公式HPはこちら
最近のエントリー
※ニュースの日記を書く方法はこちらで紹介しています。
このニュースには全0件の日記があります。
- 美川が杉田かおるに「やせた方がいい」 [13日22:55]
- 五輪公式応援ソング、小田和正ら共同制作 [13日20:29]
- 夏目雅子さん母通夜で田中好子が涙 [13日20:14]
- アッキーナがゲームソフトに登場
[13日18:43] - 吹石一恵ノーブラCM撮影に「ブラボー」
[13日18:25]
- 杉本彩の「爽快」はレベルが違う
[13日19:42] - 小栗旬主演「クローズZERO」続編製作 [13日07:37]
- 赤西がハリウッド大作で声優に初挑戦 [13日06:46]
- 唐沢&香川、「20世紀少年」で引退?
[12日10:28] - 玉山鉄二ラブストーリー映画初主演 [12日06:36]
- ブッシュ映画「W」ストーン監督で今秋公開 (ハリウッド直送便) [5月13日]
- 究極格好良く、究極おもしろく/真飛聖 (GO!GO!宝塚) [5月12日]
- 怪物より怖い人間の行動 (この一本) [5月11日]
- 待ち遠しい!今夏は大作やヒット作続編が続々 (ハリウッド直送便) [5月06日]
- 黒塗りで気合スイッチON/真野すがた (GO!GO!宝塚) [5月05日]

ソーシャルブックマークへ投稿
ソーシャルブックマークとは