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2010年4月28日

可能性と謎を残し逝ってしまったバレロ

 妻を刺殺して逮捕された数時間後、独房で自殺--19日、南米から伝えられたニュースはショッキングなものだった。2階級制覇チャンピオンのエドウィン・バレロ(28=ベネズエラ)は、日本で生活したこともあったスター選手。家族との仲むつまじい姿を再三目にしていただけに、にわかには信じられない報だった。27戦全KO勝ち。多くの可能性と謎を残したまま「ダイナマイト・パンチャー」は逝った。

 リングにおけるバレロのキャリアは輝かしいものだった。アマチュア戦績は92戦86勝(57KO)6敗。02年にプロ転向を果たすと、デビュー戦から18連続1ラウンドKO勝ちという世界タイ記録(当時)を樹立。06年にWBA世界スーパー・フェザー級タイトルを獲得し、日本で3度の防衛に成功。拠点を米国に移した後、09年にはWBC世界ライト級タイトルを獲得し2階級制覇を成し遂げた。27連続KO勝ちは、世界王者経験者としては歴代5位の記録だ。

 バレロは帝拳プロモーションの契約下にあった07年から08年にかけ、妻と長男、長女と一緒に東京・神楽坂に住んでいた。
「私が生まれたのはベネズエラの山間部だった。少年時代、家が貧しかったので家計を助けるために山で採った果物を道端で売っていたんだよ。ケンカもたくさんしたよ」

 愛くるしい丸い目を見開いて話していたのを昨日のことのように思い出す。
「昨日は家族4人でジム近くのマクドナルドに行ったんだ」
取材の際も楽しそうに近況を報告してくれたものだった。短期間だったが長男は近所の幼稚園に通うなど、一家は日本での生活を楽しんでいたように感じられた。練習では2階級も重い相手をパワーで圧倒するほどだった。

 反米の急先鋒チャベス大統領の顔の刺青を胸に刻んだり、拳銃不法所持で身柄を拘束されたりといった芳しくないニュースが届くようになったのは、一家が日本を離れてからのことだ。今年に入ってからはアルコール依存や妻への暴力といった報道も目にしていた。事件はそんな矢先のことだった。

 打倒マニー・パッキャオ(比)の野望も、3階級制覇、4階級制覇の夢もバレロは自ら絶った。8歳の息子と5歳の娘、驚異的な記録、そして「なぜ?」という謎を残して--。


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原功「BOX!」
原功(はら・いさお)
 1959年(昭34)4月7日、埼玉県深谷市生まれ。日大法学部新聞学科卒業。82年、ベースボール・マガジン社入社。以来18年間「ボクシング・マガジン」の編集に携わり、88年から11年間、同誌編集長を務める。2001年、フリーのライターとして活動を開始。現在はWOWOW「エキサイトマッチ」の構成などを担当。著書に「タツキ」「ボクシング 名勝負の真実・日本編/海外編」ほか。

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