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原功(はら・いさお) 1959年(昭34)4月7日、埼玉県深谷市生まれ。日大法学部新聞学科卒業。82年、ベースボール・マガジン社入社。以来18年間「ボクシング・マガジン」の編集に携わり、88年から11年間同誌編集長。現在はWOWOW「エキサイトマッチ」の構成などを担当。著書に「タツキ」「ボクシング 名勝負の真実・日本編/海外編」ほか。

孤高の王者マルチネス

12年3月14日 [10:42]

 体重を同一と仮定してボクサーの強さを評定するパウンド・フォー・パウンドは、ボクサーの偏差値ともいえるものだ。WBC世界ミドル級「ダイヤモンド・チャンピオン」セルヒオ・マルチネス(37=アルゼンチン)は、6階級制覇のマニー・パッキャオ(フィリピン)、5階級制覇のフロイド・メイウェザー(米国)らとともに、上位ランクの常連。その強さは、ライバルたちからことごとく対戦を拒否されるほどだ。

 マルチネスはアマチュアを経て97年にプロ転向。6年目から自国を離れて主戦場をスペインや英国に置いたが、大きなチャンスはなかなか巡って来なかった。

 運気が上昇したのは、ホームを米国に移した07年あたりからだ。翌08年、33歳にしてやっと初の世界戦の舞台にたどり着き、WBCスーパーウェルター級暫定王座を獲得。10年にはWBC、WBO世界ミドル級王座も獲得し、35歳で2階級制覇を成し遂げた。足掛け16年で記録した戦績は52戦48勝(27KO)2敗2分という見事なもの。

 サウスポー・スタンスから、スピードのある多彩なパンチを繰り出す技巧派の強打者で、戦術にも長けている。約72・5キロが上限体重のミドル級では、頭2つ分ほど抜け出た存在。現在はWBCから「ダイヤモンド・チャンピオン」という称号を授かり、通常のチャンピオンよりも格上の特別扱いを受けている。

 身長178センチ、リーチ191センチ。ミドル級では平均的な体格だが、体重は普段は90キロ近くあるといわれる。約2カ月で17~18キロ減量した後、試合前日の計量が済むと80キロ前後まで体重を戻して戦うことが常。「マラビジャ」(驚異の男)と呼ばれるマルチネスが相手から敬遠される理由の1つは、この試合当日の体重増にある。

 パッキャオやメイウェザーとの対戦話も何度か浮上したが、やはり体格と体重がネックになって計画は前進しなかった。マルチネスが軽量のパッキャオに対して「3カ月の猶予をもらえれば150ポンド(約68キロ)まで落とす」と譲歩したが、パッキャオは「147ポンド(約66・6キロ)以上では戦わない」と断固拒否した。

 その一方でマルチネスは、1階級上のスーパーミドル級のスター選手たちにも「162ポンド(約73・4キロ)の契約体重でどうか」と声を掛けているが、誰からも色よい返事はない。WBCのミドル級「レギュラー王者」のフリオ・セサール・チャベス・ジュニア(メキシコ)からも敬遠されている。

 こうした中、マルチネスは17日(日本時間18日)、勇気ある挑戦者マシュー・マックリン(30=英国)を相手に、ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデン(MSG)で「ダイヤモンド・ベルト」の防衛戦を行うことになっている。

 37歳になった孤高の王者マルチネスだが、戦績にまた1つ白星を加えそうだ。

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