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2010年8月23日

興南・島袋洋奨投手/ドラフトリポート

 「ハンカチおやじのドラフトリポート」。第15回は春夏甲子園を連覇した興南・島袋洋奨投手です。

 小柄なピッチャーってどうよ? ダルビッシュや岩隈ら投手の大型化が目立つプロ球界で、小さなピッチャーが生き残っていくのは大変だ。

 興南のサウスポー、島袋は173センチ、65キロ。特別小柄なわけではないが、パっと見の印象はやはり小さい。その体を目いっぱい使ったトルネード投法から最速147キロのストレートを投げ込む。カーブ、スライダー、フォークボールにツーシーム。けん制、フィールディングもうまい。センバツで優勝。夏も優勝投手に輝いた。実績は申し分ないが、果たしてプロで活躍できるのか。正直なところ、ハンカチおやじは頭を悩ませている。

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 甲子園から戻ったあるスカウトに評価を聞いてみた。「プロでやっていくのはどうかな。(活躍する)イメージができないんだよなあ」。

 現役のプロ投手、約360人中173センチ以下はわずか5%の18人(右6人、左12人)。実際に調べてみると確かに少ない。中にはヤクルト石川のように167センチしかなくてもエースを張っている選手もいる。過去には石川と同じ167センチながら通算197勝も挙げた長谷川良平投手(広島=故人)もいた。ただ、現実は厳しく、1軍で活躍しているのは石川のほか日本ハム武田久(170センチ)中日小笠原(173センチ)ぐらい。ドラフト1位入団の楽天長谷部(173センチ)も故障などもあってまだ活躍できないでいる。また彼ら小柄投手の特徴は、ほとんどが大学や社会人野球を経てプロ入りしていること。高校から直接入ったのは楽天辛島(飯塚=08年6位)日本ハム豊島(北陸大谷=07年6位)横浜佐藤(文星芸大付=07年4位)の3人しかいない。

 こんなデータもあってか、先のスカウトも景気のいいコメントを控えたのだろう。余談になってしまうが、スカウトはデータや定説を重視するものだ。伝説のスカウト、木庭教さん(故人)もそうだった。広島は昔、東北や北海道には担当スカウトを置かなかった。いい選手が出る確率が低かったためだ。また裕福な家庭に育った選手より、経済的に恵まれない家庭に育った選手を採った。ハングリー精神旺盛な選手の方が成功する確率が高いからだった。中には血液型や家族構成(長男なのか次男なのか、一人っ子なのか兄弟が多いかなど)を重視するスカウトもいた。高い契約金を払って入団させるのだから念には念を入れるのは当然だ。

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 本題に戻って島袋である。高校生のレベルではトップクラスの投手であるのは間違いない。ハンカチおやじ的にも広陵・有原に次ぐ評価をしている。何がいいかといえば三振が取れることだ。島袋は2年春から甲子園で13試合に登板。115回2/3を投げ130個の三振を奪った。奪三振率は10・12という素晴らしい数字を残した。また通算7度の2ケタ奪三振は金属バット導入以降の新記録。こんなデータを示されると、プロでもやっていけるんじゃないかと思いたくもなる。

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 島袋本人は進学を希望しているという。彼の評価にイマイチ自信のないハンカチおやじも進学には賛成である。ただ、プロ側が「ドラフト1位で指名する」と高く評価してくれた場合はどうか? これは思い切って飛び込んでみるべきだろう。何も1年目から1軍で活躍する必要はない。焦らず時間をかけてプロでやっていけるだけの体力をつけ、直球、変化球、すべての球種に磨きをかけるのだ。島袋の場合、まだ右打者の外角に逃げるシンカー系のボールは投げていない。これを覚えるだけで投球の幅が広がり、三振の数も増えるはずだ。もちろん進学しても力を伸ばすことは可能だが、4年後に高い評価をもらえる保証はない。

 春夏連覇達成という強い勝ち運も持っている。そして何より貴重なサウスポーである。じっくりと時間をかけて結論を出してほしい。

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 ◆島袋洋奨(しまぶくろ・ようすけ)1992年(平4)10月24日、沖縄・宜野湾市生まれ。志真志小2年のとき「志真志ドラゴンズ」で野球を始め、嘉数中では野球部に所属。興南では1年秋からエース。好きな投手はヤクルト石川。50メートル走6秒5。遠投115メートル。最速は今夏の甲子園で出した147キロ。家族は両親、祖父、兄、姉。趣味はボウリング。好きな言葉は「ポジティブ」。173センチ、65キロ。左投げ左打ち。

 ◆ハンカチおやじ 1985年日刊スポーツ新聞社入社。野球記者を11年。巨人、西武、日本ハム、アマ野球などを担当。野球デスクを7年勤めた後、2年間の北海道日刊スポーツ出向などを経て、現在はニッカンスポーツ・コムの編集を担当。取材で世話になった伝説のスカウト、木庭教(きにわ・さとし)さん(故人)を野球の師と仰ぐ。「ハンカチおやじ」は一人息子が佑ちゃんと同じ1988年生まれということから。177センチ、70キロ、右投げ右打ち(関係ないよ~)。

(おまけ)


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コメント:1件

>また通算7度の2ケタ奪三振は金属バット導入以降の新記録。

 慣用句のようによく用いられますが、現在の高校野球はパワー野球全盛時代。力と力がぶつかり合う以上、三振も当然増えると思いますよ。

 左投手は球が速かろうか遅かろうか、右打者はおっつけてセンターから右方向を狙っていくという、左投手にとって非常に嫌がられる攻撃をチーム全体の意志として実践する学校が現在果たしてどれだけあるでしょうか?

 私も元球児のはしくれですが、現役時代だった約25,6年前は、Zパワーの威力をまざまざと見せつけられた時代。池田やまびこ打線が登場した時代ですが、そんな時代でも上記の作戦は基本中の基本でした。

 今回の島袋君は左腕の出所が非常に見えづらい投手なので、打ちづらいことは理解できますが、なおさらこの作戦が効果的だと思いますね。

投稿者 kinsyati : 2010年8月23日 18:33

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矢島彩「アマ〜い野球ノート」
矢島彩(やじま・あや)
 1984年、神奈川県生まれ。5歳くらいから野球に夢中になり、高校時代からアマチュア野球中心に本格観戦を開始。北海道から沖縄まで飛び回り、年間150試合を観る。今春、めでたく都内の大学を卒業したが就職はペンディングし、今年も大好きな野球を追いかける。取材先の監督さんたちからは「若いころの(失礼!)薬師丸ひろ子に似てるね」と言われ、かわいがられているようだ。大好物のオムライスをお腹に詰め込んで、今日も球場に行ってきま~す!

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