2008年8月15日
横浜の9番・中原がラッキーボーイ
<全国高校野球選手権:横浜3-2仙台育英>◇14日◇3回戦
横浜(南神奈川)の作戦は“仙台育英・木村謙吾投手(1年)を、早いイニングから投げさせる”こと。狙いは1年生のスタミナ不足だった。仙台育英(宮城)は同点にされた3回途中、木村を投入した。予選を通じて最も早いイニングでの交代だった。横浜の小川健太主将(3年)は理想通りの展開に「よっしゃ!」と思った。
しかし、横浜打線は木村のボールを捉えられず苦しんだ。3イニング連続の無安打。木村はたった1点のリードをプレッシャーとも感じず、走者を出しても落ち着いていた。176センチ、85キロ。体型ともども1年生とは思えぬものだった。
「本当にスタミナ切れるのか?」(小川健)
「ストレートに差し込まれて打てそうで打てない…」(中原)
「結構出所が見えにくい」(大石)
横浜の各打者は予想以上の投球に首を傾げていた。だが、球数を多く投げさせることは忘れていなかった。その1人が9番打者の中原北斗外野手(2年)。先頭打者だった7回、カウント1-2からファウルで3球粘った。結果は木村からチーム初安打となる右前安になった。前の打席は2球目を遊飛。「縮こまっていたらダメ。振っていこう」と、気持ちを切り替えていた。中原はそのまま同点のホームを踏んだ。
試合は2-2のまま9回へ。ここも先頭は中原だった。高く上がった打球を相手遊撃手が見失って、ボールが左翼手の前にポトリと落ちた。さらに大石竜司内野手(1年)の安打などで三塁へ進み1死二、三塁。中原は「スクイズかなあ」と思ったという。
その時だった。木村のワンバウンドしたボールを高橋知己捕手(2年)が弾いた。「あー!」という歓声が上がったが、よく見るとボールは後方ではなくダートサークル内にあった。
「暴投したときはホームにいけるかどうか迷ったんです」(中原)。
しかし、高橋がボールに気がついていないことを確認し、すぐにスタートを切った。50メートル6秒0の俊足を飛ばして、一気にホームへ飛び込んで勝ち越しに成功。一瞬の判断と集中力が勝敗を分けた。
北原はこの日の全得点を踏んだ。試合後、“ラッキーボーイ的な働きでしたね”との記者の質問に、笑いながら切り返した。「次はラッキーと言われないようにします!」。この貪欲な姿勢でベスト4入りを狙う。
(ノート)
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