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2008年8月06日

勝ち急いだ大府のエース・大野

<全国高校野球選手権:高岡商5-1大府>◇5日◇1回戦
 たった1球が試合の流れを大きく変えた。

 試合は1-1の同点、6回まで両校6安打ずつの互角の戦い。第4試合でグラウンド状況が良いとは言えないなか、お互いに好守備を連発し投手を守り立てていた。

 試合が動いたのは7回裏。大府(愛知)の先発・大野彰之投手(3年)が2死から連打で一、二塁のピンチを作った。打席には2番・阿部達也内野手(3年)。鶴田雄紀捕手(3年)はストライクゾーンからボール2個分ほど外角に構えた。

 「点をやらまいとの気持ちが真ん中に入ってしまいました。力が入って…。失投です」。

 気持ちは構え通りに外すつもりだった。それがまさかのど真ん中。「あ!」と思った瞬間には、打球が右中間に飛んでいた。逆転の2点適時打。続くバッターにも中前安に運ばれ、この回4点を失った。

 大野はここまで無四死球、制球ミスはほとんどなかった。それを証明するように高岡商(富山)打線は初球からどんどん振ってきた。対するバッテリーも内外とゾーンぎりぎりを攻めていった。6人並んだ左打者に対し、インコースへ真っ直ぐを厳しく突き、スライダー、シンカーでもバットを振らせる。6回初めての3者凡退でリズムに乗ったかに見えた。

 「ずっと冷静さを保てていて、力を抜いて投げることができていた。でも、終盤まで1-1で来て緊張感が出てきた。あと何イニングあるだけだという気の緩みもあったかもしれない」。

 勝ち急いだプレーはもう1つある。大野は直前の攻撃で左中間へいい打球を放った。「点が欲しくて」、自己判断で三塁を狙ったが、結果はタッチアウト。竹前俊宏監督は「傲慢なプレーだ」と、首を傾げていた。報道陣からこのときの全力疾走が影響して7回に連打を浴びたのではないかと何度も取材を受けていた。
 
 「それは関係ないです。体力消耗ではない。打たれたのは自分の力不足なだけ」。

 大野は目に涙を浮かべながら力強く否定していた。

 186センチのサイドースローは「この経験を次に生かしたい」と唇を噛み締めた。大学でも野球を続けるつもりでいる。

(ノート)


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矢島彩「アマ〜い野球ノート」
矢島彩(やじま・あや)
 1984年、神奈川県生まれ。5歳くらいから野球に夢中になり、高校時代からアマチュア野球中心に本格観戦を開始。北海道から沖縄まで飛び回り、年間150試合を観る。今春、めでたく都内の大学を卒業したが就職はペンディングし、今年も大好きな野球を追いかける。取材先の監督さんたちからは「若いころの(失礼!)薬師丸ひろ子に似てるね」と言われ、かわいがられているようだ。大好物のオムライスをお腹に詰め込んで、今日も球場に行ってきま~す!

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