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2008年6月19日

浦添商の伊波、打倒・沖縄尚学に燃える夏

 第90回全国高校野球選手権大会の地区予選が、14日に沖縄で開幕した。センバツ優勝・沖縄尚学を筆頭にレベルの高い戦いぶりが予想される。沖縄尚学の対抗馬筆頭が浦添商(沖縄)だ。148キロ右腕・伊波翔悟(3年)を擁し、11年ぶりに夏の扉を開きたい。

 センバツで沖縄尚学が頂点へ近づいていく――。伊波は「悔しい」と思いながらも、沖縄尚学の全試合を録画して見ていた。東浜巨(3年)は自分より早い1年夏から試合で投げていた。「いいライバルになりそうだ」。当時から対抗心は芽生えていた。以来、東浜世代と伊波世代の直接対決は1年生大会などを含め4回。勝ったのは春の県大会のチャレンジマッチの1回だけ。しかも、東浜は投げていない。

 「本当は投げ合いたかったんですけど、夏に持ち越しですね。春のぶんも夏にやり返します」。

 伊波の熱い気持ちを静めるように、女房役の山城一樹(3年)が「尚学はタイプが違うし、東浜には自信と実績がある。相手を意識しすぎて自分たちのカラーを失ったらだめだと思う」と付け加えた。

 チャレンジマッチは8-1で完勝。持ち味の4長打が出て、理想的な試合運びができた。1週間後の九州大会初戦・国府(熊本)戦も8-0の7回コールド。先発の伊波も4回6奪三振と完璧な内容で、チームの雰囲気は夏へむけて最高状態だった。
 転機は樟南(鹿児島)との準々決勝。8-4で快勝したのだが、まるで別のチームが試合をやっているようだった。全力疾走を怠ったり、ベースカバーを忘れたり・・・。リリーフした伊波は2死から4連打で3失点。厳しいストライクゾーンに苦しんで、自分の投球を見失っていた。その夜、神谷嘉宗監督から大きな大きな雷が落ちたという。

 「昨秋の直接対決で敗れてから積み重ねてきたものが、一気に崩れてしまった」(神谷監督)。
 
 しかし、ナインは気持ちを新たにして鹿児島工戦に臨めた。先発した伊波は4回まで毎回ランナーを背負った。最も嫌いな先頭打者と四球が出た。帽子のつばには“我慢”の文字。独り相撲しがちだった自分にあてたメッセージだ。5回以降は1安打に抑える好投。低めに決まるストレートはもちろん、カットボール、縦に大きく落ちるスライダーも絶妙。初心に戻れた春だった。

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 練習後に1時間残って、学校前の坂道を50本以上走るのが日課。「本当は走るのはあんまり好きじゃないんです。でも、1年秋にエースナンバーをもらってから自然と走るようになった」と振り返る。食生活にも気を配り、ジュースを飲むにも100%のものを選んだり、朝食はどんぶり2杯。もっとうまく下半身を使いたいとのことで、理想のフォームを追いかけている状況だ。

 「150キロですか?意識してたら勝てるピッチャーで無くなってしまうと思う。普通にやって出せたらいいですね」。

 さらりと言ってのけるところに、エースの姿を見た。

「自分がしっかり抑えて、尚学に打って勝ちたい。ずっと負けっぱなしというわけにはいきません」。
 
 溢れ出す勝利への渇望が王者の連覇を打ち砕く。


◆伊波翔悟(いは・しょうご)1990年(平2)8月7日生まれ。沖縄県宜野湾市出身。174センチ、73キロ。右投げ左打ち。小学3年のときに我如古(がねこ)ファイターズで野球を始める。6年のときにエースで県大会優勝。嘉数中学では宜野湾ポニーズのエースで世界大会5位、ジャイアンツカップ出場。浦添商では1年夏からベンチ入りし、秋からエース。2年夏は引き分け再試合(決勝)など4戦連続完投を経験した。遠投115m。球種はスライダー、カットボール、チェンジアップ、カーブ、ツーシーム。捕手・山城のサインに何度も首を振るシーンが見られるがダミー。本当は信頼関係抜群のバッテリーだ。

(ノート)


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矢島彩「アマ〜い野球ノート」
矢島彩(やじま・あや)
 1984年、神奈川県生まれ。5歳くらいから野球に夢中になり、高校時代からアマチュア野球中心に本格観戦を開始。北海道から沖縄まで飛び回り、年間150試合を観る。今春、めでたく都内の大学を卒業したが就職はペンディングし、今年も大好きな野球を追いかける。取材先の監督さんたちからは「若いころの(失礼!)薬師丸ひろ子に似てるね」と言われ、かわいがられているようだ。大好物のオムライスをお腹に詰め込んで、今日も球場に行ってきま~す!

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