2008年3月26日
センバツ出場校訪問記・中京大中京(愛知)その2
最後の甲子園は04年夏。以降、あと一歩というところで出場を逃し続けてきました。
特に旧チームは秋、春と県を制するほど抜きん出たものがあった。しかし、秋季東海大会は中京高(岐阜)戦でまさかの大逆転負け。(イニングスコア参照)
中 京000 000 124=7
中京大中京420 000 000=6
夏も主導権を奪えず競り負けて準優勝。夕暮れの岡崎市民球場からの帰り道、自身を「廃人」とたとえるほど大藤監督は落ち込んだ。
翌朝、頭をバットで叩かれたような気分を味わう。大泣きしていた1、2年生たちが活気ある朝練をこなしていたからだ。先発してKOされた井藤真吾外野手(2年)は、いつも通り朝5時半に家を出てきた。ミスで逆転のきっかけを与えた矢澤主将も同じ。
「自分は何を落ち込んでいるんだと・・・。生徒のおかげで魂が入りました」。
大藤監督の目を覚ませたこのチーム。とにかく真面目、いや、真面目すぎるチームだ。指導陣がどこかでストップをかけない限りいつまでもやっている。この意見は本人たち、チームを客観的に見ている女子マネジャー尾関沙紀さんと松木優佳さん(いずれも2年)、監督、コーチ、全員一致だ。「できないことをやろうという姿勢が強い」と矢澤主将。
さらに意外な言葉が飛び出した。「監督さんが優しくなったんです」。理由は練習中に怒る回数が減ったこと。そして秋の試合中、右手に笑、左手にスマイルマークをペンで書き、選手たちに見せていたこと。今までの監督だったらあり得ない行動だそうだ。他の3年生も同じ気持ちを抱いているから説得力がある。大藤監督は生徒の主張に首を傾げつつ、話し始めた。
「求めるレベルを下げているわけでもないし、生徒に合わせていることもないんだけど。でも、私自身が素直に感情を出せている。彼らとは波長が合うのかも。自分の指導にうまく乗っているんだと思います」。
野球ノートにしても、選手たちは見せることを意識して書いている感覚がない。だから、まとめていっぺんに書いたりせずに毎日きちんと提出。「練習で遅くなって、眠たいので今日は寝ます」と正直に書く子もいる。感情的な内容が増え、「素直に書いてほしい」という監督の思いが伝わっている証拠だ。「最初から表裏なく接してこれた。この子たち、僕らに隠し事なんかしてないと思うよ」と笑みを浮かべる。大藤監督自身も、例えば練習中は携帯電話をマネジャーに預けている。おまけにマネジャーが「代理のものですが」と電話に出る。信頼関係がなければこんなことはできないはず。心でもうまくキャッチボールができているのだ。
(つづく)
(ノート)
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