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2008年12月09日

藤川のドナー登録で思い出したこと

 うそ偽りのない、正直な気持ちが伝わってきた。「誰かを助けたい。だからドナー登録した」。これは先日、都内で行われた骨髄バンク支援のシンポジウムの中で、藤川球児投手(28)が発した言葉だ。

 藤川は3年前のオフ、血液腫瘍(しゅよう)を発症し、骨髄移植が必要となっていた地元・高知の青年の存在を知り、そこから骨髄バンク支援活動を開始した。藤川はそのころの心情をこう明かす。

 「はじめは悩んだ。僕自身(病気のことに)詳しくないから。でも僕が知らなくても、皆さんに知ってもらうチャンスを頂ける立場だと思って、やらせてもらった。目に見えないところで人の手がつながっていって、1つの円にしたい。もしかしたら全員を救えるかもしれない。その可能性はゼロじゃない」。

 飾らない言葉の奥底には、「純粋に人を助けたい」という気持ちしかない。その後「何故ドナー登録に踏み切ったのか」と問われ、「誰かを助けたい。だからドナー登録した」と、あっさり言った。藤川という1人の人間が持つ勇気が、そのひと言に凝縮されている気がした。

 骨髄バンク支援のシンポジウムには、骨髄移植を受けた側の女性も参加していた。その女性が話してくれた言葉が忘れられない。「どこの誰かも分からない他人に、大事な骨髄を移植してくれて…。本当に感謝しています」。そう涙ながらに語っていた。ドナー登録するということは、まったく面識のない他人を助けるために、自分も手術を受ける可能性がある、ということ。誰でも決断できることではない。

 自分はどうだろう…。手術自体も怖いし、手続きなどに必要な時間もつくれるのだろうか、とも思う。正直に言うと、まだドナー登録する勇気はない。だけど、藤川の言葉を聞いているうちに、忘れかけていた心を思い出した。どんなに小さなことでも良い。誰かが困っていたら、手を差し伸べられる人になりたいと、あらためて思った。

(佐井陽介)


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