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2008年8月25日

勝者と敗者を分けるものは何なのか

 あれほど暑かった夏も、いつの間にかどこかに去っていった。北京五輪が終わった。北島の快挙、上野の熱投、そして星野ジャパンの完敗…。勝者と敗者を分けるものは何なのか。改めて勝負の厳しさを思った。

 22日の準決勝・韓国戦で同点打を浴びた藤川は神妙だった。「日本で成績を残しているのとはまったく別物です」と振り返った。全試合で4番を務めた新井も「終わったばかりなので、ゆっくり考えてみないと分からない」と話した。メダルなき帰国に誰もが浮かない表情だった。主力を欠いた阪神も5連敗を喫したあと、3連敗。苦しい戦いを繰り返し、五輪組が再合流する。優勝に向けてペナントレースは佳境を迎える。

 それにしても…。「五輪熱」は簡単には消えてくれない。北京へと思いをはせる。最終日の24日。「鳥の巣」に入ってきた男子マラソン最後のランナーは重い足取りで、しかし確実にゴールへと歩を進めていた。彼はレース前、メダルへの野望ではなく「スタートラインに立てたことを自信にしたい」と話したという。当初の練習プランが狂い、あるいは、不調を悟っていたのかもしれない。それでも逃げなかった。敗因を問われ「力不足です。また精進したい」と言い訳もしなかった。

 先週の広島遠征。私はリニューアルオープンした、つけ麺屋「木のは」に行った。野球選手のサインに並んで、大学時代ともに過ごした彼の色紙も飾られている。何度も見ていたはずなのに『大変なことは大きく変われること』と添えられているのが、なぜか印象に残った。日々30キロを超えるような走行距離を重ねていくのがマラソンの調整だ。日々鍛錬を重ねて、準備を尽くしてもなお、勝つことの難しさが、勝負には横たわる-。重みのあるフレーズだった。佐藤は前を向いて、初めて五輪の42・195キロを走り抜いた。五輪出場の切符を手中に収めた勝者は、敗者になり、またいつの日か…。

(酒井俊作)


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 運動セクション。95年入社。一般スポーツ担当を経て96年から阪神担当。99~01年はオリックス、02年は遊軍で03年から阪神担当復帰。東京都生まれ。
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