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2008年3月12日

パウエルの素顔をみた

 これが本当の素顔だと実感した。9日の西戸崎室内練習場(福岡市東区)。練習を終えたジェレミー・パウエル投手(31)が報道陣の取材に応じた。フラッシュの放列も、突き出されるマイクもない数人の囲み取材だったが「ここでいい?」「お疲れさま」と笑顔交じりに日本語で話した。これまで、一連の騒動の中で間近に見たパウエルは、鉄仮面という表現がふさわしい不機嫌な表情だった。人間味があるのは怒りに満ち、ほほを紅潮させるときだけ、という印象だった。

 紆余(うよ)曲折を経て、パウエルのソフトバンク入りが決定した。パ・リーグ連盟の「二重契約」という指摘から始まった問題は、根来コミッショナー代行の要請で、ソフトバンク、オリックスの支配下選手登録申請をともに不承認とし、あらためてパウエルと契約合意した球団の申請を受け付けるというものだった。ソフトバンクは一貫して「二重契約」と判断された契約の正当性、事実究明を求めてきた。根来代行は白黒をはっきり打ち出すことはなかったが、本人の意志を尊重する形で、迷走するこの問題を軟着陸させた。

 一時、球団は民事裁判による決着も模索した。それほど「二重契約」の汚名返上に躍起だった。もちろん、パウエルの名誉回復の意味合いも強かった。結果的に疑惑を完全に晴らすことはできなかった。ただ、パウエルは希望通り、ソフトバンクに出場停止期間もなく入団した。不思議だったのは、その後の球団の対応だった。

 入団決定後、ガトームソンらほかの外国人投手にパウエルの質問をすることは、球団からタブーとされた。球団広報は「外国人選手がナーバスになっている」と説明したが、競争原理が生まれる外国人投手6人制は、球団が方針を決定したはずだ。王監督も「外国人の競争が激しくなった。いすが決まってるのとそうでないのでは調整も違ってくる」と、その効果を認めている。パウエルには「オリックス」の質問を封印しようとする。パウエルのあの笑顔が、また違う形で消えるかもしれない。

(中村泰三)

鷹番日記
中村泰三(なかむら・たいぞう)
 93年(平成6)入社。広告部、レース部競輪担当を経て報道部。94年オフからホークス担当。02年から東京本社野球部に出向し、巨人、横浜、米メジャーなどを取材。04年11月に西部本社復帰。現在ホークス担当。35歳。
石田泰隆(いしだ・やすたか)
 03年(平15)入社。報道部 入社直後は、アマチュアスポーツを担当し、04年2月からホークスを担当。現在に至る。27歳。
進尚幸(しん・なおゆき)
 96年(平成8)入社。報道部写真担当、ホークスを中心に九州のスポーツ全般を取材。全国津々浦々を取材する。スペイン1部リーグのバリャドリードに在籍した城彰二を取材。34歳。
梅根麻紀(うめね・まき)
 97年(平成9)入社。入社してからカメラマン一筋。ダイエーホークス、サッカー、高校野球、柔道など九州関連のスポーツ写真報道に携わる。イタリア・セリエAでヴェネチア在籍時代の名波浩(現磐田)を取材。31歳。
押谷謙爾(おしたに・けんじ)
 96年(平8)入社。総務部、レース部を経て報道部。99年秋からサッカー担当。大分、福岡、鳥栖を中心に九州リーグ、高校サッカーのほか、02W杯、セリエAなどを取材。03年から大分支局。33歳。

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