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新庄カウントダウン

巨人オープン戦で二刀流

o-sh-990306-1.jpg巨人とのオープン戦で投手として初登板の新庄

 まるで野球漫画だ。二刀流挑戦中の阪神新庄剛志外野手(27)が、5日の対巨人オープン戦で、1人3役の超人的な働きを見せた。投手として4回、オープン戦初登板。1イニングを直球中心の力の投球で3者凡退に仕留めた。5回からセンターの守備に就くと7回、強肩で補殺を記録。バットの方も9回に左前安打を放つなど投げて、守って、打って「三刀流」の大活躍を披露した。野村監督は「もう何試合か見させてもらうわ」と投手新庄を引き続きテストすることを決めた。

 新庄の潜在能力が、やっと芽を出した。投げて抑え、捕って刺し、そして打った。2万4000人のファンは4回裏、マウンドに向かう新庄に期待のまなざしを向ける。好奇の視線を送っていた巨人ベンチも、その実力を目の当たりにし、オープン戦とは不似合いな緊迫感に縛られていった。

 この日はブルペンから飛ばした。多少のバランスの乱れなど構わず、腕を振り切る。「野手なんだから野手投げでいい。真っすぐが空振りか、ポップフライか、後ろにファウルになるか、ならいい」という野村監督の単純なアドバイスが効いた。マウンドでのダイナミックな投球練習に、元木はいつもよりベースから離れて打席に立ったほど。初球は外角に大きく外れたが143キロ。カウント1-1からの3球目、143キロの直球がライト方向へのファウルになり、手がしびれたのか、元木は顔をしかめ、打席を外した。

 いやがる打者心理を察知したように、今度は新庄のテンポが良くなる。投球間隔は5秒足らず。フルカウントから139キロの直球で二飛。「元木がストレートを待っている中でストレートで抑えた」。投手としてのテストを続けるかどうか決めかねていた野村監督は、この瞬間に投手新庄続行を決断した。

 続く二岡にはスライダーを交えて目先をかえ、直球で遊ゴロ。3人目の後藤はスライダーで力ない中飛に仕留めた。最速は143キロ止まりだったが、新庄の気迫が勝った。野村監督の期待通り力の投球で打者を攻め、打ち取った。

 気分をよくして5回裏から守備に就くと、見せ場は自然と訪れる。7回1死二塁。清水の打球がセンター前へ。二塁走者・大野倫は迷わず三塁を回る。新庄は楽しむように、ホームへ正確なワンバウンド返球で大野倫を刺した。この強肩を見せられ、巨人は8回無死三塁で石井の中飛に、タッチアップを断念したほどだ。

 投手で抑え、そして守備で2失点を未然に防いだが、それで終わらないのがこの日の新庄だった。1点を追う9回には三沢からレフト前にクリーンヒットを放ち、二刀流ならぬ「三刀流」での締めくくりにスタンドからひときわ大きな拍手がわき起こった。

 しかし、試合後の新庄に浮ついたところはなかった。この日は走者を許さなかったため、セットポジションでの場面はなし。セットから投げる場合、直球と変化球で腕の振りの強さが明らかに変わるという課題は解消されていない。ボロが出なかっただけだ。「向こうが打ち損じたんでしょう。補殺? だれでもアウトにできますよ」。

 それに反し野村監督の言葉は弾んでいた。「マウンド慣れしてきたみたいだな。今後? もう何試合か投げさせてみるかな」。この日打たれたら終わりにしようと思っていた二刀流。投げて、守って、そして打って、新庄が土壇場で踏ん張った。【井上真】

1999年03月06日付 紙面から

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