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2009年05月14日

全米に及ぶチケット販売の不振

 先々週ヤンキースが高額チケットの大幅値下げを実施したことをお伝えしたが、世界的不況によるチケット販売の不振は同チームに限らず、MLB、さらにアメリカのプロスポーツ全体に及んでいることが明らかになってきた。全国紙USAトゥデーをはじめ複数のメディアがこの事態を大きく報じている。

 ここまでMLB全体の入場者数は昨年より5.2%ダウンしているという。特に不振が目立つのがやはり高額チケットだ。ヤンキースのみならずやはり新スタジアム、シティフィールドをオープンしたばかりのメッツでも最高595ドルの高額席が約10%売れ残っているのだとか。同チームのチケットは同じマーケットに位置するヤンキースよりも安く価格設定されているのだが、やはりこれだけ売れないのである。またマリナーズも全体で昨年より7・1%入場者が減っているが、特にホームベース後方などの高額チケット・ゾーンの空席が目立つ。

 こうした現象の原因はこれら高額チケットの主な購入層が企業である点にある。接待などに使われるための需要が主なターゲットとなっていたのだ。それが不況でコスト削減を断行した企業が多くなり、その余波を被ったのである。

 もちろん一般のファンも財布のひもを引き締めており、容易にスタジアムに足を向けられる状況にはない。と、すればやはりチケットの値下げが対抗策として思い浮かぶ。実際今シーズン、MLBの平均チケット価格は64ドルで、これは昨年より8・6%の値下げとなっている。中にはレイズのように37・4%も値下げしたチームも出ているのだ。さすがに昨年躍進を果たしたこともありレイズは入場者が増加しているが、それでも全体で見ると減少傾向にあるのだ。

 さらにその深刻さを感じたのがチケットの2次販売市場での価格状況である。MLBをはじめとしたアメリカスポーツ界では近年一度販売されたチケットが買い主の都合などで使用されない数を減らして、場内での飲食費など収益アップにつなげることを目的に、チケットの2次販売ビジネスを積極的に利用するようになっている。MLBの場合、オンラインでチケットを売買できるStubHub.comを公認サイトとして2次販売を展開中だ。

 その売買価格が下落しているのである。13日にチェックしてみたところ、18日のロッキーズ対ブレーブス戦ではたった1・45ドルで販売されているチケットまであった。新ヤンキースタジアムでの試合でもでも18日のツインズ戦外野席が7ドルで販売されていたりする。

 ただ単に値段が安ければファンが来てくれる、ということでもないようで問題は根深そうだ。果たしてこの問題からどうすれば脱却できるのか、各チームの模索はこれからも続きそうである。


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渡辺史敏「from New York」
渡辺史敏(わたなべ・ふみとし)
 1964年生まれ。兵庫県出身。ニューヨーク在住。明大卒業後、科学雑誌出版社勤務を経て、95年フリーランスとして渡米。  現在はMLBをはじめ、NFL、サッカーなどの米プロスポーツと、インターネット、TV、コンピュータなどのIT分野で取材・執筆活動を行っている。  独自の視点で米国メディアの報道を分析、スポーツビジネスのレポートなどに定評がある。

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