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2008年09月25日

特別な存在だったヤンキースタジアム

 21日現ヤンキースタジアム最後の試合が行われ、皆が別れを惜しんだ。その翌日にはヤンキースの松井秀喜外野手がニューヨーク市内の病院で左ひざの内視鏡手術を受けた。さらに23日には宿敵レッドソックスのプレーオフ進出が決定し、同時にヤンキースの“終戦”が決まった。少しずつ色合いの違う寂しさを感じた3日間であった。

 ヤンキースタジアム最後の試合だが、華やかな面ばかりが強調されたが、実際はそれだけではすまなかったようだ。原因はこの歴史に残るイベントの“記念品”を得ようとしたファンの暴走である。

 ニューヨーク市警が発表したところによると、なんとこの日、観客ら20人が逮捕されたという。1人は試合終了直後フィールドに降り、三塁ベースと芝生、さらにマウンドの砂を奪って逃走したところを捕まっている。このほか座席のカップホルダーを取り外して、持ち帰ろうとしたファンも多かったようだ。

 実はこうした事態が起こることをチームも予測しており、この試合には普段より1600人も多い2000人もの警備員が配されていた。それだけ厳重に警備していてもこれほどの逮捕者が出るのだから困ったものである。

 実際この試合に限らず、スタジアムなどのメモリアル試合となるとファンが我先に設備の一部を奪い合う光景をこれまで何度か見てきた。どうもアメリカのファンはこうしたときモラルが一挙に下がってしまう傾向があるようだ。日本のファンにはまねして欲しくない部分である。

 が、騒ぎは21日だけで終わらなかったのだ。まずこの試合でホセ・モリーナ捕手が放ったスタジアム最後のホームランボールの所有権を巡ってファンが争い、裁判に持ち込まれそうな事態に陥っている。

 打たれたボールがいったんレフトフェンス後方の防護ネット上に落下。それを警備員が落とした。そこをミットで捕球したファンがいたのだが、警備員はそのファンからボールを取り、最初にネット越しにボールに触れたファンにボールを手渡したのだ。このミットで捕球したファンが所有権を主張し、揉めているのだ。これはファンのせいとはいえないが、なんとも難しい問題ではある。

 さらに22日にはスタジアム外壁に塗られたペンキを削り、集めていたファン数人が逮捕される事件まで起こっている。ヤンキースは外壁を守るため警備員をパトロールさせるそうだ。

 困った話ばかりだが、それだけヤンキースタジアムは特別な存在だったのだなぁ、とあらためて思い知らされている。


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渡辺史敏「from New York」
渡辺史敏(わたなべ・ふみとし)
 1964年生まれ。兵庫県出身。ニューヨーク在住。明大卒業後、科学雑誌出版社勤務を経て、95年フリーランスとして渡米。  現在はMLBをはじめ、NFL、サッカーなどの米プロスポーツと、インターネット、TV、コンピュータなどのIT分野で取材・執筆活動を行っている。  独自の視点で米国メディアの報道を分析、スポーツビジネスのレポートなどに定評がある。

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