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企画特集


2008年03月21日

ヤンキースがバージニア工科大を慰問

 18日、スプリング・トレーニングを続けるヤンキースがバージニア州ブラックスバーグにあるバージニア工科大学のキャンパスを訪れ、同大学の野球部とオープン戦を行った。

 昨年4月16日に起こった32人が犠牲となった銃乱射事件追悼のため、特別に企画されたものだ。

 試合そのものはヤンキースが11-0で圧勝し、メジャーの強さを見せつけたのだが、この試合の意義はその結果にはない。ヤンキースがそこに来て試合をしたということこそが大事だったのである。

 アレックス・ロドリゲス内野手やデレク・ジーター内野手など参加した選手たちは試合前の練習から多くの学生、地域周辺に住む子供たちに常に囲まれ注目され、サインをねだられていた。その様子をニューヨーク・ポストは「ロックスターのよう」と評していたが、ニュース映像を見ていてこれこそMLBが“国民の娯楽”であることの象徴のように感じられた。そしてその“娯楽”が事件で傷つけられた人々を癒す一助になるのだろうと。

 また同紙によると慰霊施設を訪問したとき出会った1人の女子学生についてロドリゲスとジーターが深い印象を受けたことを伝えてもいる。彼女はフィアンセを事件で失っており、そのフィアンセの写真へのサインと慰霊碑での記念撮影をねだったのだという。

 ジーターは写真を撮る際「彼女に『微笑んで』と言ったら、彼女は笑ったんだ」とコメントしている。またロドリゲスは「(寄付の)小切手を送るのもいいだろうが、ここに来ることが重要だったんだ」とも話している。この訪問で彼女を含め、遺族たちに新たな希望を与えたかもしれないが、同時に選手たちにとっても自分たちがどういう立場にいるか認識する良い機会になったのではないだろうか。

 ちょっと残念だったのはこの訪問に松井秀喜外野手が参加していなかったこと。松井は遠征に参加せず、フロリダに残りマイナーリーグの練習試合に参加して調整に努めたのだ。ただ負傷から回復段階にある松井のことを考えればこの判断も妥当であろう。

 全イニングの2番目の打者として打席に立つという変則的な出場で、4打数1安打という成績だったということだ。しっかりと疲れをためることなく開幕に向けて調整を続けていって欲しいものである。

 様々なことがあったスプリング・トレーニングももう終盤、待望の開幕はもう間近だ。


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渡辺史敏「from New York」
渡辺史敏(わたなべ・ふみとし)
 1964年生まれ。兵庫県出身。ニューヨーク在住。明大卒業後、科学雑誌出版社勤務を経て、95年フリーランスとして渡米。  現在はMLBをはじめ、NFL、サッカーなどの米プロスポーツと、インターネット、TV、コンピュータなどのIT分野で取材・執筆活動を行っている。  独自の視点で米国メディアの報道を分析、スポーツビジネスのレポートなどに定評がある。

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