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2008年03月06日

井川、先発ローテ入り前進、監督へアピール

 昨年期待されてヤンキースに入団しながらマイナー落ちするなど不本意なシーズンを送った井川慶投手。復活に向け、メジャー確定、先発陣入りを争う日々が続いている。

 先月29日の南フロリダ大戦では大学生に満塁本塁打を浴びるなど、ここまでニューヨーク地元メディアの印象は良くなかった。特に井川獲得にあたり、4600万ドルが費やされたのに昨シーズンの結果だったことからついてしまった負のイメージは強く、井川を評するのに“大きな失望”といった厳しい言葉が使われることも多い。それどころか井川のことが話題に上ることさえ激減していたのである。

 それが6日付の地元各紙の見出しには久々にいい意味で井川の名が並んだ。「ただオー・ケイではなく、パーフェクトな日」(ニューヨーク・ポスト)、「ケイ・イガワが復活したので、ヤンキースはパーフェクトな雨の日を楽しんだ」(デイリーニューズ)といった具合である。

 “オー・ケイ”とは井川の名とOKをかけたもの。“パーフェクト”とはこの日行われたブルージェイズ戦が雨天で6回途中までとなったが、井川を含む4人の投手が“完全試合”を達成したことによるものだ。

 井川自身は2回19球を投げ、無安打無失点2三振とまさに完ぺきな内容だった。この投球が期待の若手としてこの日先発したフィル・ヒューズ以上に、地元報道陣にはかなり強烈な印象を与えたようだ。さらに井川がメジャーでの座確保、さらには先発のスポット争いで1歩前進、という認識を与えたため、前述のような見出しにつながったのである。

 ニューヨーク・ポストはジョー・ジラルディ監督自身「彼はチームでスポット獲得を争っているので、彼にとってそれはより重要だった」とこの日の投球内容が特に重要だったことを認めたとしている。

 さらにそのうえで、同紙は井川は5人の先発陣が負傷した場合以外は、ロング・リリーフか同監督が好むという左のスペシャリストとして使われる可能性が高いことも示唆した。

 井川としてはもちろん目標は先発ローテション入りだろう。ヒューズなどライバルは強敵ぞろいだが、なんとしてもこの日のような投球を続け、監督さらにはメディア、ファンの信頼を積み上げていって欲しいものである。まだまだ開幕までには日数が残っているのだから。


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渡辺史敏「from New York」
渡辺史敏(わたなべ・ふみとし)
 1964年生まれ。兵庫県出身。ニューヨーク在住。明大卒業後、科学雑誌出版社勤務を経て、95年フリーランスとして渡米。  現在はMLBをはじめ、NFL、サッカーなどの米プロスポーツと、インターネット、TV、コンピュータなどのIT分野で取材・執筆活動を行っている。  独自の視点で米国メディアの報道を分析、スポーツビジネスのレポートなどに定評がある。

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