2009年11月01日
第241幕 ハロウィーンの夜、フィリーズファンのため息
ワールドシリーズ第3戦はハロウィーンと重なり、シティズンズ・ボールパークには思い思いに嗜好を凝らした衣装でやってくるファンも多かった。ダウンタウンから球場へ向かう地下鉄には、試合開始まで4時間以上もあるというのに、フィラデルフィアでの初戦が待ちきれない様子のファンに混じり、魔女や幽霊に仮装し上からフィリーズのユニフォームを着たファンらが詰めかけた。

球場近くのスポーツバーに行くと750人座れるテーブル席は満席。当然のことながらフィリーズファンで埋め尽くされていたが、その大勢の中に数えるほどのヤンキースファンも入り混じって、立錐の余地もないほどの盛り上がりぶりだった。中にはフィリーズの「P」をペイントしたカボチャを持参し、先取点が入った時にはそれを頭上に掲げて踊りはじめるなどのお祭り騒ぎになっていた。
ハロウィーンにはわざと怖い形相のお面をかぶったり、ガイコツの衣装をつけたり、幽霊の格好をするなどして人間にとりつく「悪霊」を逆に怖がらせ、追い払うという意味がある。凍りつくような寒さで震え上がった昨年のワールドシリーズとはうってかわって、この日は季節外れの生暖かい風が吹き、雨も断続的に降った。暗がりを歩くと、どこかから幽霊が出てきそうな気配まで漂って、まさにハロウィーン日より? だった。
この日の先発は昨年のワールドシリーズMVP男、コール・ハメルズ。大きな期待が寄せられていたが、ヤンキース打線に打ち込まれ5失点して逆転負けを喫してしまう。フィリーズファンの大きな期待はため息へと変わった。彼らにとってハロウィーンのこの夜ばかりは、強すぎるヤンキースが「悪霊」に見えたかもしれない。
※写真はハロウィーンのカボチャをペイントし、スポーツバーに持ち込んで応援するフィリーズファン
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- 鉄矢多美子(てつや・たみこ)
- 福岡県に生まれる。成城大在学中から、硬式野球部のマネジャーを務めるかたわら、ウグイス嬢の道に。1977年にロッテ・オリオンズ球団(現在の千葉ロッテ・マリーンズ)に入社して、ウグイス嬢と広報担当を兼務。87年12月からフリーに。 野球のあるとこどこまでも、の精神で、日本国内はもとより、アメリカ大リーグをはじめ、キューバ、ドミニカ共和国、プエルトリコなどに足繁く通う。将来は野球をモチーフにした一大スペクタル小説を書くのが夢。著書は「サミー・ソーサ 心はいつもホームラン」(集英社インターナショナル)、「もっとカゲキにプロ野球」(講談社)、「素顔の野茂英雄」(小学館)、「熱球伝説」(岩波書店)。
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