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2009年04月13日

第224幕 グリフィー親子の「24番」伝承は…

 ケン・グリフィーがMLBの開幕第1戦で本塁打を打った。開幕試合での本塁打は通算8度目。ゴッドファーザーであるフランク・ロビンソン(殿堂入り)と並んだ。10年ぶりにシアトルに復帰し、しかもそのシアトル時代の背番号24を背負っての本塁打…。レッズ、ホワイトソックスでプレーした9年間はその番号から離れていたが、やはりグリフィーには「24番」が似合う。そう思うのは筆者だけだろうか?

 ピオリアでのキャンプ終盤のことだった。施設内を歩いていると、その24番を背負った長身の若者が筆者を追いかけてきた。「こんにちは!」と挨拶するその顔を見て、それがグリフィーの長男トレイ君であることがすぐにわかった。父親のグリフィーと母親のメリッサを足して2で割ったような面持だったからだ。しばらく会っていなかったが、聞くともう彼も15歳。背丈も父親のグリフィーにあと少しで届こうかというところまで伸びている。

 グリフィーは折々に、アイポッドに入れたトレイ君の写真を見せてくれていたが、実際に会ってみると明らかに「父親のDNA」を感じさせる若者に成長していた。ユニフォームも似会っている。「野球やってるの?」という問いに、返ってきた答えは「あまりやってないよ。フットボールをやってるんだ」。「お爺ちゃん(グリフィー・シニア)やお父さんのあとは継がないの?」。「多分継がないと思うけど、今はわからない…」。

 「トレイには敢えて野球をやれとは言わない。好きな道を選べばいいと思うよ」。野球に悩み、自分を追い込みすぎて自殺未遂まで起こした過去が頭のどこかによぎったのだろうか、グリフィーがそう言った。ただし、自分がプレーヤーとして晩年にさしかかっていることは十分感じている。願わくば、トレイ君の気持ちが野球に向かい、いつの日か自分の背番号「24番」を背負ってプレーしてほしいという気持ちがきっとどこかにあるはずだ。

 外野で球拾いする父親に寄り添い、楽しそうにジャレあっているトレイ君の姿からは、グリフィーが彼の父親であるグリフィー・シニアにそうしてきたシーンと重なりあう。今は自分が野球をすることにあまり比重を置いていないという15歳の少年だが、いつか祖父や父親が歩んできた道を歩きたくなるのではないか…。すでに「背番号24番」をしっかり着こなしているトレイ君を見ていると、親から子への確かな伝承を感じられずにはいられなかった。


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ガンちゃんのまいど!
鉄矢多美子(てつや・たみこ)
 福岡県に生まれる。成城大在学中から、硬式野球部のマネジャーを務めるかたわら、ウグイス嬢の道に。1977年にロッテ・オリオンズ球団(現在の千葉ロッテ・マリーンズ)に入社して、ウグイス嬢と広報担当を兼務。87年12月からフリーに。  野球のあるとこどこまでも、の精神で、日本国内はもとより、アメリカ大リーグをはじめ、キューバ、ドミニカ共和国、プエルトリコなどに足繁く通う。将来は野球をモチーフにした一大スペクタル小説を書くのが夢。著書は「サミー・ソーサ 心はいつもホームラン」(集英社インターナショナル)、「もっとカゲキにプロ野球」(講談社)、「素顔の野茂英雄」(小学館)、「熱球伝説」(岩波書店)。

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